1 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 20:42:39.61 ID:kUTOBBAO0
利根川「こんばんは…。
今日はこのようなクソスレを開いて頂き、
まことにありがとうございます。
わたくし、このSSの主要人物をおおせつかっております
利根川幸雄といいます。
まず、このスレは作者のオナニースレであることを
十分に承知していただきたい。
ご了承いただいたうえで、これを読んで頂ける方々には
まず、前回までのあらすじとして、前スレとなります
「ハリーポッターと賭縛の黙示録」
これを検索して、お読み頂きたい。
いまからお送りするSSは、前回の多大なる支援を
真摯に受け止め、クズであるそれの作者が出来る限りの
努力をして書いたものであります。
そのため、どうか、これからお読みに下さる方は
忍耐力をもってお読み頂けるようお願い申し上げます」
4 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 20:44:23.35 ID:kUTOBBAO0
夏休み、ハリー・ポッターは唯一の身寄りであるダーズリー家へ帰省していた。
初めての友人も出来て、夢のようだったホグワーツ魔法魔術学校での生活を
中断されていたハリーのもとに、ドビーと名乗る屋敷しもべ妖精が現れる。
そしてドビーはハリーにホグワーツに戻ってはならないと警告する。
だがそれを拒否したハリーの前でドビーはケーキに浮遊術をかけ、
ハリーの仕業と見せかけてマグルの前で魔法を使ってしまう。
その後ドビーは「姿くらまし」し、
ハリーを学校に行かせないために退学にさせようとした。
その後ダーズリー一家の怒りに触れたハリーは
部屋に閉じこめられたばかりか、
マグル (非魔法族) の世界で未成年魔法使いは
魔法を使ってはならないという規定に違反したとして
魔法省から警告を受ける。
部屋に監禁されたハリーは、ロン・ウィーズリー、
フレッド・ウィーズリー、ジョージ・ウィーズリー達に
空飛ぶフォード・アングリアで救いだされて、
ウィーズリー家へと向かったのだった。
5 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 20:45:46.61 ID:kUTOBBAO0
その日。
利根川幸雄は憂鬱だった。
夏期休暇に入って約1か月がたった。
去年、あれだけ貢献したはずの
ホグワーツ魔法魔術学校から何の連絡もないのだ。
こちらから連絡しようにも
普通郵便を使うことはできないうえ
電話も使えない。
魔法界で使われているフクロウ便でなければ
魔法使い同士での連絡のやりとりができないのだ。
利根川「あれは…あの一年は…夢だったのだろうか」
6 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 20:47:40.47 ID:kUTOBBAO0
利根川は去年の出来事に思いをはせる。
”魔法界でちと面倒なことが起こりそうでな…
申し訳ないんじゃが、あなたに手助けをしてもらいたいんじゃ”
最初にダンブルドア校長の部屋で言われた一言が
脳裏によぎる。
利根川は、異世界とはいえ、生まれて初めて教壇にたち、
誰かから掛け値なしの尊敬を得たことを忘れることが
できずにいた。
利根川「いや…夢ではない…あれは…夢であるはずが…」
利根川は深いため息をついた。
7 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 20:48:20.46 ID:kUTOBBAO0
利根川は、去年ホグワーツで撮った写真や、貰った物を整理していた。
”これ、二枚もってるから先生にあげるよ”
【ナイン】を行ったハロウィーンの日。
わざわざ部屋に来てまで
ロングボトムという生徒がくれたカードが
自分に向けて微笑みかけていた。
そのカードもダンブルドア。
アルバスダンブルドアであった。
その時、ふと背後に生き物の気配を感じた。
???「利根川様でございますか?」
8 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 20:49:05.51 ID:kUTOBBAO0
利根川は壁伝いに机の方ににじり寄り
崩れるように椅子に腰かけた。
去年、不思議なものはたくさん見たが
一か月も魔法界から離れていた利根川には
刺激が強すぎたのだ。
利根川「あ…ああ…そういうことか…
次回からは前もって来ると連絡をいれてくれ」
???「申し訳ございません。私は屋敷しもべ妖精でございます」
10 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 20:49:48.28 ID:kUTOBBAO0
利根川「屋敷しもべ妖精?」
???「はい。私は魔法省国際魔法協力部の部長を
務めておられる、バーティ・クラウチ様の
しもべ妖精、ウィンキーでございます。
本来ならば、こういった事は本人が直接
お伝えするのが礼儀ですが、ご主人さまは
多忙でいらっしゃるので、ウィンキーめが
言付けを預かっていらっしゃいました」
しもべ妖精は、少し間違った言葉遣いでそれを伝えると
利根川にうやうやしく礼をした。
利根川「魔法界の政府の?ホグワーツはどうしたのだ?」
ウィンキー「大変申し上げにくいのですが、
利根川様は、本年度、
ホグワーツ魔法魔術学校に
御戻りすることはできません」
11 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 20:51:19.09 ID:kUTOBBAO0
利根川「いったいどういうことなのだ?」
ウィンキーは、気を悪くなされないようにとだけ伝えて
利根川にたくさんの手紙を手渡した。
それは、去年マグル学を受講した生徒の親からの
苦情の手紙だった。
『マグルに教えさせるなんてホグワーツの品位を疑います』
『授業をそっちのけでゲームをさせるというのはいかがなものでしょうか』
『バカげた鉄骨綱渡りに対する学校側の弁解を聞きたい』
など…。
ウィンキー「PTAの方から授業に対して不満の声が多数
あがっておりまして、とうとう理事会から利根川様の
非常勤の契約を打ち切るようにと要望が出されました…。
そしてダンブルドア氏はそれを昨日受理なさいました」
ウィンキーは辛そうな顔をして、耳をパタパタさせた。
13 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 20:53:08.32 ID:kUTOBBAO0
利根川はこんな寂しい気持ちになったのは
生まれて初めてだった。
利根川「ご苦労だった」
利根川はそれだけ言うと、いつでも出られるようにと
きちんとまとめてあった荷物を、また戻し始めた。
ウィンキー「あと、ウィンキーは新しい契約書をお持ちになりました。
そのため、サインと印鑑を頂きたいのです」
ウィンキーはキーキー声でそういうと、うれしそうにほほ笑み、
大事そうにもっていた手提げ鞄から一枚の紙を取り出した。
14 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 20:54:21.68 ID:kUTOBBAO0
「親愛なる利根川様。
いきなりのお手紙を失礼いたします。
去年のあなたのご活躍は、魔法界においてかなり高い評価を受けておいでです。
具体的に申し上げますと、利根川様のご活躍は魔法界全体の
マグルに対する認識、見解を完全に塗り替えるに至ったのです。
そのため手前勝手ではございますが、その活躍を称えて
魔法省国際魔法協力部への正規職員として
お迎えすることが、役員会議で決定いたしました。
返事の方は7月31日のふくろう往復便にてお願い致します。
魔法省 国際魔法協力部 部長 バーティ・クラウチ」
17 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 20:56:51.76 ID:kUTOBBAO0
ウィンキーはご主人さまともども
良いお返事をいただけることを願っておりますと
最後に付け加えて、パチッと指をならして”すがたくらまし”した。
利根川は、その手紙を繰り返し読み
去年と同じ気持ちで荷造りを再開した。
利根川「…いたずらか?それにしては手の込んだ…」
18 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 21:01:37.88 ID:kUTOBBAO0
その頃、東京のとある街。
平井銀二と別れてから、森田鉄雄は
物足りない毎日を過ごしていた。
刺激がたりない…。
悪人だらけの世の中を渡り歩く銀二の姿が
いまだ月に数回ほど森田の夢に出てくる。
森田「なんだかな…」
森田はさみしくつぶやいた。
19 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 21:07:12.81 ID:kUTOBBAO0
森田は、今のところ生活する上で、何不自由ない暮らしはしていた。
森田「もう…銀さんは計画をどこまで進めたんだろう…」
社会にでること…この世で生き抜くということ…
全て教えてくれた、人生の師を森田は忘れられない。
森田がもの思いにふけっていると突然チャイムが鳴り響いた。
20 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 21:12:46.53 ID:kUTOBBAO0
しかし、玄関先にはだれもいない。
不思議に思いあたりを見回すと、一枚の手紙が置いてあるのに気づいた。
「親愛なる森田 鉄雄様
このたびホグワーツ魔法魔術学校非常勤教師枠に
見事抜擢されましたことをこころよりお祝い申し上げます。
新学期は9月1日に始まりますので、返事の方は7月31日の
ふくろう往復便にてお願い致します。
ホグワーツ魔法魔術学校 校長 アルバス・ダンブルドア」
21 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 21:13:38.82 ID:kUTOBBAO0
送り主から二度目の連絡が届いた。
そして、森田は疑念が捨てきれず約束の空港へ向かう。
もしかしたら、銀さんが自分に
何かを伝えようとしているのかも…。
しかし、12時間のフライトを経た森田を、
空港で待っていたのは銀二ではなく、
濃い紫のマントを羽織った男であった。
???「森田…鉄雄様ですかな?」
~
22 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 21:15:58.10 ID:kUTOBBAO0
森田「え?」
森田の背後には見知らぬ男が立っていた。
???「私は、ルシウス・マルフォイ。
ホグワーツ魔法魔術学校の理事をしているものです」
ルシウスと名乗った男は、森田に手を差し出した。
ルシウス「この度はホグワーツ魔法魔術学校非常勤講師枠に
見事抜擢されましたことをこころより
お祝い申し上げます」
握手を交わし、ルシウスはにやりと笑みを浮かべた。
25 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 21:18:10.80 ID:kUTOBBAO0
ルシウス「実は、あなたをマグル学教授として、
ダンブルドアに推薦したのは私なのです」
森田「はあ…」
ルシウス「失礼は承知の上ですが、この度、あなたについて調べさせてもらいましてな。
マグル世界での、あなたの素晴らしい功績を拝見しました限りでは
なかなかの死線をくぐっておられるようだ。
実は、そのことを買って、あなたに一つだけ頼みがあるのです」
森田「すいませんが…なにいってるんだか…さっぱり」
ルシウスは森田の言葉を無視して言った。
ルシウス「人を一人、殺してもらいたいのです…!!」
27 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 21:20:32.58 ID:kUTOBBAO0
森田「フフ…やはりそういうことか…。
なら残念だが他を当たってくれ…。
辞めたんだ…俺は。
それに、銀さんから何をきいたのか知らないが、
俺は今まで、この手で人を殺したことなんてない」
森田は、頭を下げてそこから立ち去ろうとする。
ルシウス「いやいやいや…とんでもない。
先ほどの発言は、社会的に抹殺してほしいという
”比喩表現”です。
実際に殺しなど、そんなことは、とてもとても…。
少し込み入った話になるので、場所を変えましょう」
28 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 21:23:01.25 ID:kUTOBBAO0
ルシウスは森田に
”魔法界が本当に存在すること”
”これが冗談ではなく真面目な話であること”を伝えた。
ルシウス「実は今年、あなたが赴任するホグワーツである問題がおきるのです。
その時に必要以上に騒ぎ立てて、問題を大きくしてくれればいい」
森田「…そんなこと言われても、まだ俺には何のことか理解できていない。
だいたい魔法学校に赴任だなんて…めちゃくちゃすぎる」
ルシウス「まだ理解はせずとも良いのです。
ただ、”はい”と一言返事をいただければそれでいい」
そういうとルシウスは、金貨の入った大きな袋を森田に見せた。
ルシウス「ことが上手くゆけば、これはあなたに差し上げましょう。
どうです?これほど明確なことはないのでは?
どこの世も、金だけは人を裏切りませんからな」
そしてマルフォイ氏は、時が来ればまたお会いしましょうとだけ
言葉を残して”すがたくらまし”した。
29 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 21:26:57.75 ID:kUTOBBAO0
『ただ、大袈裟に騒いでくれるだけでいい
それだけで、この金はあなたのもの…。
これは全部で80,000ガリオン…
つまりあなた方の世界で約8千万円の価値があります』
最後にマルフォイ氏が言った言葉が森田の中で響いた。
森田「バカいってら…」
否定しようとする傍ら、森田はふつふつと煮えたぎるような
刺激を感じていた。ちょうど、あの頃に感じていたのような…。
31 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 21:29:09.10 ID:kUTOBBAO0
そして新学期は始まった。
森田はホグワーツに着いてからダンブルドアに
授業についての指導を少し受けただけで
ホグワーツの仕組みやその他様々なことに対して、
何の説明もされなかった。
また、最後に今年の新任の先生は森田のほかにもう一人いると告げられた。
ギルデロイ・ロックハートという評判高い魔法使いらしい。
『理事の推薦とは、どういう意図でしょうか…』
『吾輩としては、利根川先生を切ってまで、ただのマグルを教員として
受け入れることに、いささかの疑問を感じますな…。』
『ダンブルドアはなぜこの件を受理されたのだろうか…』
『【チャーミング・スマイル賞】を五回も受賞した私の経歴について
一般的に誤解があるようですが、実際には…』
森田は囁き合う教員たちの話を聞いて溜息をついた。
森田「(あんまり評判よくねえな…
ま、あの胡散臭い理事の推薦じゃ無理もねえか…)」
32 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 21:31:27.37 ID:kUTOBBAO0
時を同じくして、ハリーとロンの2人は、
キングズ・クロス駅の9と3/4番線へ
つながる柵が何故か通り抜けられなかったため、
ホグワーツ特急に乗り遅れ、
アーサーが魔法をかけた空飛ぶフォード・アングリアで
ホグワーツへと到着していた。
そして、途中でマグルに空を飛んでいるところを
マグルに見られたこともあり、退学処分は免れたのだが
2人は後日罰則を受けることに決まった。
33 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 21:33:17.57 ID:kUTOBBAO0
そしてハリーたちはこの日、初めての授業を終えた。
ロン「あれはいったいなんだっていうんだ!!?」
ロンが教室を出てからいきり立った。
ハーマイオ二―「ただ、体験授業をさせたかっただけなのよ」
ハーマイオニーがロンをなだめるように言った。
ロックハート先生の授業は思った以上に最悪だった。
授業が始まるやいなや、自分のプロフィールに関する
小テストを行い、挙句の果てに教室中に大量のピクシーを放ち、
対処をするどころか途中でトンズラしたのである。
ハリー「次はマグル学だね」
ロン「ああ。ロックハートよりマシなら何でもいいさ」
ロンは吐き捨てるように言った。
34 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 21:38:00.06 ID:kUTOBBAO0
森田は教室へ続く階段を上がっていた。
森田「(俺が先生か…これが現実だってことはわかったけど
…冗談きついぜ…)」
教室に近づくにつれて生徒たちの話声が聞こえてきた。
”担当の先生が、利根川先生から変わったらしいよ”
”あの利根川なんかが今年も教壇に立てるわけないだろう。
僕の父上は学校の理事なんだから、追い出すにきまってるじゃないか”
教室の扉を開けると、何十人という生徒の目線を感じた。
腹をきめて森田は語りだす。
森田「本年度のマグル学を担当する…森田鉄雄です」
35 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 21:41:06.33 ID:kUTOBBAO0
森田「といっても…教壇に立つこと自体が人生初でね。
それが異世界の学校じゃ、何を話していいのか見当もつかない。
だから手始めに、俺がどういう人間で、どういう世界を歩んできたか。
少しだけ、君たちに理解してもらおう」
そういうと森田は生徒たちに1枚ずつ紙を配りだした。
森田「その紙は、いわば君たちの心を映す鏡…。
何をつかんで…何を手放すか…
その価値と倫理をあぶり出してくれる」
36 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 21:45:31.80 ID:kUTOBBAO0
森田「ただ、今から書くことに関して、何も考えてはいけない。
自分の中にある素直なイメージで構わないんだ」
そういうと森田は、それぞれが人生で一番大切だと思うことを
ひとつだけ書くようにと指示した。
ロン「ねえ、なんて書くんだい?」
ハリー「とりあえずダーズリー一家じゃないことは確かさ」
マルフォイ「高貴な家系っていうのはどうだい?ウィーズリー。
おっと、君は高貴というより好奇かな?
奇妙を好む。要するにゲテモノ好きって意味さ」
15分後森田は生徒全員の紙を集める。
森田「なるほどね…
家族に…信頼…そして友人…
こんなとこだろうとは思っていたが
やはり、人間とはどこの世界も変わらないもんだ。
フフ…まるで的が外れてる…。
それじゃ人生はつかめないぜ…」
37 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 21:47:33.29 ID:kUTOBBAO0
森田「極論から言うと、どんな世界にしろ、人間が生きる上で、
もっとも重点を置かなければならないことは
生命を対価にした報酬…つまり金さ。
家族や友人、そして信頼…
オレは別にそれらを軽んじているわけじゃない。
しかし、時として、金がないためにそれを
手放さなきゃならないこともあるってこと…。
だからこそ…ここで断言する。
金をつかまなきゃ…人生嘘なんだよ…」
38 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 21:50:13.55 ID:kUTOBBAO0
森田「よくわからなければ具体例を出そう。
現在、一般魔法家庭がこどもを一人育て上げるのに
必要な最低額がいくらか知っているか?」
ロンは静かに首を振った。
森田「およそ8,000ガリオンだ。
君らを育て、学校に行かせるためには
それだけの金が必要。
つまりそれが”家族”というものを構築し、
守るために最低限必要な金…。
そして、俺の経験から言わせてもらうと、
友人や信頼というものは、
金というものに対してあまりにもよわい」
39 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 21:52:10.30 ID:kUTOBBAO0
森田「友情とは、共感や信頼の情を抱き合う人間の間で
互いを肯定しあう関係、もしくはその感情をいうもの。
友情で結ばれた者達は互いに互いの価値を認め合い、
また相手のために出来ることをしようとする。
つまり、友情とは、互いの好感、信頼、
価値評価に基づいて成り立っているもの…。
しかし、それらの中に金が絡んだ場合、
人の友情とはもろくも飛散する。
仏が鬼に変わるなんてザラ…。
騙され…裏ぎられ…
そして切り捨てられる…」
~
40 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 21:54:48.58 ID:kUTOBBAO0
森田「金には興味深い特性があってね。
小遣い銭程度ならなんでもないのだが、
大金には、弱い人間なら人格さえも狂ってしまうほどの
えもしれぬ魔力が宿るのさ。
それ故に、扱いには注意が必要。
扱い方ひとつ間違っただけでお陀仏。
まさに一触即発の爆弾さ…。
そんな世界を生きている人間達をつないだ絆は、
信頼なんてちっぽけな言葉じゃ言い表せない。
互いが互いに命を預けあい、共に破滅する覚悟をしている。
例えるならば…命で繋がれた鎖…そんな絆…。
そして俺はそんな世界を渡り歩いてきた…。
だから俺は一年をかけて君たちに…
その世界の入口を見せてやろうと思う」
41 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 21:57:13.81 ID:kUTOBBAO0
森田は最後に、金とは持つにふさわしい人間に流れ、
逆にそうでない者の手からは離れていくと話した。
森田「一年後には、これ以上ない形で君たちに証明しよう」
授業の最後に森田はこう言い残した。
教室を出て、ハリーはロンに問いかける。
ハリー「どういうことかなあ…。最後の一言は」
ロン「さあね。何か確信をもっているみたいだったけど…」
~
42 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:01:32.79 ID:kUTOBBAO0
ハリーたちは、新学期になってから初めて
ハグリッドの小屋を尋ねていた。
ハグリッド「いましがた、ロックハート先生が来てな。
自分が泣き妖怪を追っ払った話を小一時間
話していったんだ」
ハグリッドは少し笑うと小さな声で呟いた。
ハグリッド「やっこさんの話が本当なら、
俺はへそで茶を湧かせてみせるわい」
ハグリッドが先生の批判をする事は初めてだったため、ハリーは驚いた。
そしてハリーたちはハグリッドに森田先生の授業の話をする。
ハグリッド「何てこともねえ。あの森田っちゅう先生も…
おっと、これはお前さんたちにゃ言えないんだった」
ハグリッドは大きく咳払いをして話題を変えた。
43 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:03:36.45 ID:kUTOBBAO0
2年生になり、授業はどんどん複雑化し難しくなっていった。
しかしロックハートの授業は始まってからずっとその調子で
ほとんどは自分の伝記の音読で終わっていた。
森田先生の授業はマグル学というよりも心理学に近く、
生徒たちには相手の心中を読み解いて、推理する練習をさせた。
また、森田先生がマグル出身であるということで
魔法界について説明するという大義名分をつかって、
しょっちゅうロックハートが自身の経歴について
森田先生に語っているのをハリーは何度も目撃した。
45 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:07:19.54 ID:kUTOBBAO0
そして数か月の時が流れた。
ホグワーツではハロウィーンの日に、管理人アーガス・フィルチの猫である
ミセス・ノリスが石になる事件が起こる。
その後、マグル出身者の生徒が石にされる事件が立て続けに発生し、
伝説と化していた「秘密の部屋」が「スリザリンの継承者」の手で
開かれたのではないか、という疑惑がホグワーツ城内に広まっていく。
中でも特にマルフォイは水を得た魚のようにはしゃいでいた。
マルフォイ「次はお前たちの番だぞ!穢れた血め!!」
47 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:09:33.13 ID:kUTOBBAO0
ハリー「夜中にドビーが僕の所へきたんだ」
ハリーはドビーの話をそのまま2人に告げた。
ハリー「闇の罠が仕掛けられて、僕の命を狙ってるって…」
ロン「これで決定的じゃないか!
きっとルシウス・マルフォイが学生時代に部屋を開けているんだ!」
ハーマイオ二―「じゃあ、きっと内通者がいるのよ。
誰にも疑われず、学内を自由に行動できるような…」
ハーマイオニーはマグル学の教科書を見つめてつぶやいた。
48 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:10:54.40 ID:kUTOBBAO0
それから数日後。
コリン・クリービーが何者かにより石にされた夜、
森田の下にルシウス・マルフォイ氏から手紙が届いた。
『今夜ホッグズヘッドにてお待ちしております』
森田「チッ…やっぱり、握ってやがるのか…この事件の真相…」
ロックハート「驚いたでしょう!?半年間もベストセラー入り!!」
森田は延々と続くロックハートの自慢話から逃れる口実ができたため、
足早にホグズミート村へ出かけて行った。
49 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:12:57.37 ID:kUTOBBAO0
ルシウス「これはこれは…よくおいで下さいました」
マルフォイ氏は一番奥のテーブルに森田を案内した。
森田「ひとつだけ聞く… あれはあんたか?」
ルシウス「なるほど。事の始まりにお気づきになられたようですな」
森田「てめえ…なにを企んでる?」
ルシウス「フフフ…。あせらずともこれからお話しましょう」
50 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:15:46.59 ID:kUTOBBAO0
ルシウスは森田に秘密の部屋について話した。
ルシウス「これから何が起きるかは、私にもわかりません。
しかし、マグル出身者に対して、ホグワーツは
大きな痛手を被ることは間違いないでしょう。
その時に、教員の視点からダンブルドアの責任能力を問う
発言をして頂きたいのです」
森田「よせよ…何を寝ぼけたこと言ってるんだ…。
学校での殺人未遂を黙認して
最高責任者である校長をを糾弾しろだと?
ふざけろっ!!」
ルシウス「では、この取引を受け入れては頂けないのですかな?」
森田「あたりまえだっ!!」
それを聞くとルシウスは、森田の前に例の袋をかざした。
ルシウス「まことに残念だ…。
どうやら私はあなたを買いかぶっていたようですな。
実際のところあなたは何もしなくて良かった…
もっともマグル族である限り命が安全とは言えませんが…
しかしそれだけのリスクで80,000ガリオン…
破格な取引だったと思いますがね」
51 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:18:14.56 ID:kUTOBBAO0
またしばらくの時が流れる。
クリスマス休暇が明けたある日、ハリーは3階の女子トイレで
黒く古い日記帳を見つけた。
その日記帳にはT・M・リドルの記憶が残されていて、
その記憶を見たハリーは前回の「秘密の部屋」事件の概要を知るのだった。
しかし、その後すぐにハリーは何者かに日記を盗まれてしまう。
そして、また数か月が経過したある日、ハーマイオニーと女子生徒が襲われる事件が発生した。
この事により、前回の事件の容疑者だと言われているハグリッドが
アズカバンに送還され、ダンブルドアは停職になることが決まった。
52 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:20:36.45 ID:kUTOBBAO0
ハリーとロンは、ハーマイオニーのことを伝えようと、
ハグリッドの小屋を訪れていた。
ハグリッド「おお…2人とも、こんなとこで何しとる?」
ハリー「ハグリッド…大丈夫?」
ロン「ハーマイオニーのこと聞いた?」
ハグリッド「ああ…とんでもねえことだ…ほんとに…」
その時突然、戸を叩く大きな音がした。
ハグリッド「いかん。お前さんたちが居るところを見られたら、
まずいことになってしまう…」
2人は急いで透明マントを被った。
ダンブルドア「こんばんは、ハグリッド」
53 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:22:28.96 ID:kUTOBBAO0
ロン「パパのボスだ!!」
ロンが入ってきた魔法省大臣をみるなり囁いた。
ファッジ「あー…状況は、あまりよくない。 私が自ら来ざるをえなかった」
魔法省大臣は重々しく、ダンブルドアとハグリッドに状況を説明する。
ダンブルドア「しかしコーネリウス、今回の事に限りハグリッドには…」
ファッジ「私としても不本意なことだ…。
だが政府として何か手を打たねば…」
ダンブルドアが答える前にまたドアが開いた。
ルシウス「これはこれは…大変なことになったようで」
マルフォイ氏は、部屋に入るなり満足げに言った。
54 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:25:01.79 ID:kUTOBBAO0
ハリー「ねえ、あそこに誰かいるよ!」
ハリーはマントの中でロンに囁いた。
ハグリッドを囲み、ルシウスがダンブルドアに理事の意向を伝えている様子を
森田が陰からのぞいていたのだ。
森田「…下手を打てば、なにをされるかわからんが…黙ってられるかッ…」
森田は部屋の窓をコンコンと叩き、マルフォイ氏に合図を出す。
ルシウス「ちょっと失礼してよろしいかな?」
ルシウスはうすら笑いを浮かべ部屋から出て行った。
55 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:26:39.77 ID:kUTOBBAO0
ルシウス「まったく…一体どうなさったのですかな?」
森田「あんたは間違ってる…!!」
ルシウス「何を唐突に…」
森田「平気なのかよ…
てめえの息子と同じ年頃の子供に、あんなマネをしやがって」
ルシウス「ひどいことだとは思うがね。まあ致し方あるまい」
森田「あんたが秘密の部屋を開けようとしたこと…
これがもし公になれば…どうなるか…」
ルシウス「フフフ…なるわけがなかろう…そんなこと…。
何を企んでいるのか知らんが…
そろそろお引き取り願いたい。
魔法省大臣を待たせているのでな」
ルシウスは森田をあざ笑うように言った。
ルシウス「森田君…。残念だが、君はもう必要ないのだ」
56 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:27:37.88 ID:kUTOBBAO0
しばらくしてルシウスは、森田を嘲るかのように、
一礼をすると部屋に戻って行った。
ルシウス「それでは、アルバス。
われわれはいつの日か、あなたの個性的なやり方を
懐かしむことでしょうな」
ダンブルドア「これだけは覚えておくといい。
わしが本当にホグワーツを離れるのは
わしを求めるものが一人も居なくなった時だけじゃ」
ルシウス「あっぱれなご心境で」
マントの中の2人は絶望した。
ハリー「大変だ…」
ロン「ダンブルドアが学校からいなくなるなんて」
57 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:31:02.32 ID:kUTOBBAO0
そして、またしばらくの時が流れた。
期末試験の3日前、2人はハーマイオニーを見舞いに行くことになった。
石になっているハーマイオ二―は小さな紙切れを握っており、
そこには「スリザリンの怪物」の正体が記されていた。
これを見た2人は、今までの事実が全て整合性を持つことに気づき、
寮監であるマクゴナガルに話そうと職員室へ向かう。
しかしまたもや事件が起こる。
内容はロンの妹であるジニー・ウィーズリーが「秘密の部屋」に攫われたため、
翌朝、生徒を全員帰宅させるというものだった。
話を聞いたロンとハリーは愕然とする。
58 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:32:58.41 ID:kUTOBBAO0
ハリーとロンはロックハートが事件解決に乗り出したと聞き
すぐさまロックハートの部屋へ向かった。
ロックハート「やあ…ハリー…それにウィーズリーくんも…」
ロックハートは2人を確認すると上ずった声であいさつした。
ハリー「僕たち先生にお知らせしたいことが…」
ロックハート「し…しかしですね…私にも色々と都合が…」
ロン「僕の妹が攫われたんです!助けて下さい!」
ロンが声を荒げて叫んだその時、ロックハートの部屋のドアが開いた。
ロックハート「も…森田先生?」
59 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:36:04.75 ID:kUTOBBAO0
森田「フフ…聞きましたよ…。秘密の部屋へ乗り込むんですって?」
ロックハート「いや…私はこれから席を外さなければ…」
ハリー「この事態にどこかへ行かれるのですか!!?」
ロックハート「そ…そう。緊急に呼び出されて…その仕方なく…」
森田「なるほどね…」
森田はハリーとロンに少しの間だけ部屋から出るように伝えた。
2人は時間がないからと言って反対したが、
森田は聞く耳を持たずドアを無理やり閉める。
ロックハート「ああ…森田先生。わかって下さるのはあなただけです」
森田「クク…何を言ってるんです? 俺も行きますよ。秘密の部屋に…」
60 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:36:50.19 ID:kUTOBBAO0
ロックハート「そんな…いや、私は用事があってこれから…」
森田「おいおい…今のこの状況よりも大変な事なんてないだろ?」
ロックハート「…わかった、白状するよ」
ロックハートは、森田に自分の今までの功績が
まったくの嘘であることを明かした。
ロックハート「だから…私には…なにもできないんだ…」
森田「フフ…だろうな…。まあ、そうだろうと思ってたさ…」
森田は少し間をおくと、ロックハートに向かって一言告げた。
森田「そこで取引だ…」
61 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:39:04.81 ID:kUTOBBAO0
森田「10万ガリオンッ……。
それで俺が代わりに秘密の部屋に行く」
ロックハート「そんな…10万ガリオンなんて大金…」
森田「クク…たったの10万ガリオンじゃないか…。
今のあんたにすれば、はした金だろ?」
ロックハート「しかし…」
森田「これは悪い話じゃない。
今回の事件を差し引いたとしても、さっきの話を俺が吹聴すれば、
あんたの信用はガタ落ちになる…。
あんたは10万ガリオン払うだけで、富と名声を守れるんだ。
それに、もし俺が死ねば、その金も払う必要がない…」
ロックハートは、何かに誘われるかのように静かに頷いた。
62 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:40:34.21 ID:kUTOBBAO0
ハリー「あ…あのロックハート先生は!?」
森田「ロックハート先生の代わりに俺が行くことになった」
ハリーはどういうことか気になったが、時間が限られていることもあり
急いで森田をマートルのトイレに案内した。
マートルを訪ねた3人は彼女から死んだ時の話を聞き、
とうとう「秘密の部屋」へ続くトンネルの入り口を発見する。
ハリー「早くこれを降りないと…」
63 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:42:43.42 ID:kUTOBBAO0
森田「待て…。何も、お前が行く必要はない…!」
ハリー「でもこの下にはロンの妹が!」
森田「それでもだ!
この下には今まで生徒たちを襲った元凶…。
それが眠っている…。
死ぬぞ!間違いなく!」
ハリー「時間がないんだ!!」
ハリーは森田の静止を振り切り、トンネルの中へ入って行った。
森田「くそっ…策もないのに、突っ切ってどうするってんだ!」
64 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:45:01.75 ID:kUTOBBAO0
森田はロンに、1時間経過して戻らなかったら助けを
呼びに行くようにと伝えた。
ロン「いやだ!僕も行くさ!」
森田「やめろ!
ここは耐えろ!!
わざわざ中に入って、命を危険にさらすより
今、自分ができることを優先するんだ!」
ロン「でも…ジニーは…」
森田「救う!!!!
俺が中に入って、力を尽くしてお前の妹を救う!!
だから…信じろッ…!!
信じて待て…ッ!!
ここ一度だけでいい…
俺をッ……!
森田鉄雄を信じろッ……!!!」
65 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:46:38.07 ID:kUTOBBAO0
森田はロンをトイレの前に残して中に入って行った。
そして、長いトンネルを抜けて、暗く湿った床に落ちた。
ハリー「あ、森田先生…」
森田「何考えてる!!勝手なマネしやがって!」
ハリー「ごめんなさい、でも…」
ハリーが弁解しようとしたとき、杖の先の光が何かを照らした。
なんと杖明かりが照らし出したのは大きな蛇の抜け殻だった。
森田「くそ…なんだこれは…」
66 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:47:27.31 ID:kUTOBBAO0
2人は奥へとのびる、薄明かりの部屋の端に立っていた。
巨大な石像の下に赤毛の女の子が横たわっている。
ハリー「ジニー!!」
ハリーが駆け寄るのを森田は引き留めた。
森田「まて…あそこに誰かいる…」
???「あのこは目を覚まさないよ…残念だけどね」
背の高い黒髪の少年が2人に向かってつぶやいた。
ハリー「リドル…トム・リドル…?」
67 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:49:14.41 ID:kUTOBBAO0
リドル「その子はまだ生きている…でもかろうじてだ」
ハリー「君はゴーストなの?」
リドル「記憶さ…50年以上残されていた記憶…」
トム・リドルは今までのジニーの行動や秘密の部屋について語り出す。
リドル「さて、本題に入ろう。
史上最強の魔法使いヴォルデモート卿と
生き残った男の子ハリー・ポッターとの力比べだ」
トム・リドルは壁に向かって何かを呟くと
そこからズルズルと何かを引きずるような音が聞こえてきた。
森田「バカ!!何やってる!!
さっさと戻ってこい!!」
68 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:51:17.58 ID:kUTOBBAO0
森田「いいか?生き残りたかったら俺の言うことを聞くんだ!」
ハリー「でも、相手はバジリスクだ!目を見たら死んでしまう!」
森田「聞けッ…!こっちの武器はお前の杖のみ…。
あの蛇の抜けがらを見た限りでは、明らかに不利だが
勝ちの目が無いってわけじゃない…!
聞いた話では、あの日記帳がすべての原因。
だったら、蛇を倒さずとも、あれを消せばいいだろ。
蛇は無理でも、日記帳ならなんとかなるかもしれない」
ハリー「先生…」
森田「たまるかよ…
あっさり殺されてたまるかッ…!」
69 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:52:33.78 ID:kUTOBBAO0
2人の真上でシャーシャーとこするような音がした。
森田「陽動作戦だ。俺が囮になってアレをひきつける。
その隙にお前が日記帳をしまつするんだ」
森田はそれだけ言うと、ハリーの返事も聞かずに歩み出した。
一歩…、また一歩。
ただゆっくり、決死の一歩を進む。
森田は今ある自分の状況を絶体絶命と認め、
生死の選択を捨てた。
もはや森田に許された選択肢は、死に様だけ…。
虫けらの様に殺されるなら
まっすぐ目を開いて、歩いて死ぬ。
どうせ死ぬなら…
張って死ぬ…ッ!!!!!!!
71 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:55:13.96 ID:kUTOBBAO0
森田が部屋の隅に走り、十分にバジリスクを引きつけたのを確認して
ハリーは日記帳に向かって走った。
残り10mもない。
あと少し。
しかし、その少しが茨の道。
”そんなマグル放っておけ…小僧だ…小僧を殺せっ…”
リドルの命令によって、バジリスクは急転回し、
目標をハリーへと切り替えたのだ。
そして、ハリーが日記をつかむ前に、”ブスリ”と
ハリーの肩をバジリスクの牙が貫いた。
ハリー「あああああああ…ッ!!!」
72 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:56:44.14 ID:kUTOBBAO0
森田「くそっ………!!」
ハリーの意識が遠ざかった。
森田先生が自分の方へ走ってくるのを見た気がする。
ハリーは壁に寄りかかったまま
ズルズルと崩れ落ちた。
そしてハリーの意識は暗く、深い
ぼんやりとした暗色の渦の中へ
沈んでいったのだった…。
73 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 22:59:00.29 ID:kUTOBBAO0
ハリーが目を覚ました所は、医務室のベッドの上だった。
ダンブルドア「森田先生に礼を言わなければならんぞ、ハリー。
気を失った君を懸命に救ってくれたんじゃ」
ハリー「トム・リドルは!?
バジリスクはどうなったんです!?」
ダンブルドア「トム・リドルの記憶は完全に消滅したようじゃ。
それにバジリスクは息絶えた。
実は、君たちが乗り込んだすぐ後に
ウィーズリー君が危険を知らせてくれてな。
ちょうど、わしはホグワーツに戻ってきておったので、
すぐに先生方を連れて3階のトイレに向かったんじゃ」
74 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 23:00:23.09 ID:kUTOBBAO0
ダンブルドアは真ん中に大きな穴のあいた日記帳を取り出した。
ダンブルドア「わしらが秘密の部屋についた時には、
森田先生が君に覆いかぶさるようにして、
この日記帳を握りしめておったんじゃ」
ダンブルドアは事のいきさつを細かくハリーに聞かせた。
ジニー・ウィーズリーは無事に保護されたこと。
森田先生は、体に怪我を負ったが生きていること。
ダンブルドア「さあ、もう一休みするといい」
ダンブルドアはハリーにそう言うと静かに部屋を出て行った。
75 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 23:01:14.50 ID:kUTOBBAO0
ダンブルドアは、自室に戻り、1人の男と対談していた。
ルシウス「それで…お帰りになったわけだ。理事が停職処分にしたのに…」
マルフォイ氏は、冷たい目でダンブルドアを見据えた。
ダンブルドア「それがのう、君以外の理事から、女子生徒が誘拐されたと聞き、
すぐに学校に戻ってくれと頼まれたのじゃ。
それに、何者かにわしの退職命令にサインをせねば、
家族を呪うと、脅されていたと告白してきたんじゃよ」
マルフォイ氏が口を開こうとした瞬間、またドアが開いた。
ルシウス「も…森田……」
76 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 23:04:04.55 ID:kUTOBBAO0
森田は、ルシウスに少し話があるとだけ伝え、部屋の外に出た。
ルシウス「いまさら君が私に何の用かね?」
ルシウスは怒りを抑えて森田に言った。
森田「少し、お聞かせしたい物がありましてね」
森田は、魔法用具店『ダービッシュ・アンド・バングズ』で購入した
小さな道具を取り出した。
森田「ご存知のとおり、これは魔法音声記録装置…
実は、この中にある音声データが記録されています」
77 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 23:06:15.05 ID:kUTOBBAO0
ルシウス「…貴様…まさか…」
森田はルシウスだけに聞こえるように音声を流した。
森田「そう…これはあの夜の会話…あんたが秘密の部屋の事件に
関わっているという、これ以上ない物的証拠さ…」
ルシウスの顔は一瞬にして蒼白になった。
森田「残念ながら…今回に限り、
敗北して泥を舐めるのは、俺じゃない。
あんただ…」
78 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 23:07:54.78 ID:kUTOBBAO0
ルシウス「なるほど…そういうことか…
それで?わたしにどうしろと?」
森田「フフ…額さえ折り合えば、買って頂きたいんですよ。
この音声データをね…」
ルシウス「………いくらだ…?」
マルフォイ氏は食いしばった歯の間から言った。
森田「半分…半分で結構です…」
ルシウス「あの契約金の半分か!?
こんなものに40000ガリオンも出せというのか!??」
森田「冗談だろ?
俺が言ってる半分は、あんたの全財産の半分…
それなら手を打ってやるって言ってるのさ」
80 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 23:09:59.98 ID:kUTOBBAO0
ルシウス「こんなことをして…自分が誰に歯向かっているのかを…
理解しているのか!?…わかっているのか!?」
森田「ククク…そんなこと知ったこっちゃねえよ…。
それより…早く決断しないと…
ダンブルドアに怪しまれるぜ…
」
ルシウスはしばらく考えてから、ゆっくり懐から杖を取り出した。
ルシウス「良いか?大人しくそれをよこせば、命だけは助けてやろう…」
森田「フフ…見え透いた芝居はやめな…。
こんなところで魔法を使った脅しなんて
あんたにできるわけねえだろ…」
81 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 23:11:51.61 ID:kUTOBBAO0
森田「ここが何もないような場所なら、俺の口を封じることも可能だろうが
悪いことに魔法魔術学校長の目と鼻の先。
そんな状況でマグルに魔法をかけたとあっちゃ、
どんな理由があろうとも言い逃れできやしねえ…。」
ルシウスはしばらく森田を睨めつけていたが、
やがて、あきらめたかのように、杖を下におろした。
ルシウス「…ふざけるなッ…
そもそも…なんでそんな大金を……」
森田「ククク…おいおい…
これがもし、表沙汰になったら、あんた一生塀の中だぜ?
これからの一生を棒に振るのか、
今までの人生で築いた財産の半分の金で解決するか
一体どちらがマシかな…」
82 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 23:13:08.54 ID:kUTOBBAO0
森田の策によって、ルシウス・マルフォイは、
長きに渡り築いてきた資産の半分を失った。
すべての謀や、偽り、策を弄するものは
用心深くしなければならない。
しかし、ルシウスにはそれが欠けていた。
人を利用することばかり考え、他人をみくびりすぎたのだ。
その不遜な気の持ちようが、彼を破滅に招いた。
結局、自分の都合しか見えていないため、
死角となっていた真実に喰われたのだ。
83 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 23:13:48.98 ID:kUTOBBAO0
ハリーは翌日、ホグワーツの宴会に参加した。
この日は嬉しい出来事が沢山起きた。
ハグリッドがアズカバンから帰ってきたこと。
マグゴナガル先生から、後期の期末テストが
キャンセルされたと発表されたことなど…。
ロン「まあ、とにかく無事に済んでよかったよ」
ハーマイオ二―「それにしても、期末試験がなくなるだなんて…」
84 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 23:15:09.43 ID:kUTOBBAO0
夏学期の残りの日々は、驚くような速さで過ぎ去っていった。
この間に、ルシウス・マルフォイは理事を辞職しており、
息子のドラコは、我がもの顔で学校を歩くことが出来なくなっていた。
ロン「次の授業で、今学期も終わりだね」
ハリー「そうだね、今年も色々あったけど、楽しかったよ」
ハリーたちはホグワーツで受ける今年最後の授業を受けるため
マグル学の教室へ向かって歩いて行った。
93 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/07/31(金) 23:57:24.20 ID:gz7VflXrO
森田が教室に現れると、
マグル学の教室はシンと静かになった。
森田が秘密の部屋に乗り込んで、女子生徒を救い出した話は
全校生徒のほとんどに知れ渡っていたからだ。
森田「俺は、今学期のはじめに、君たちに大金の本質について話し、
また大金が飛び交う世界の入り口を見せてやると約束した」
森田はそういうと、金貨の入ったとても大きな袋を教壇の上に置いた。
森田「そしてこれが、1年かけて、俺が積み上げた金だ…」
残り4レス
携帯から失礼します
m(_ _)m
95 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/07/31(金) 23:58:55.58 ID:kUTOBBAO0
静かだった教室は、一気にざわめいた。
一人を除いて、誰もがこんな大金を見るのは、
生まれて初めての事だったからだ。
マルフォイ「嘘だッ!!父上から聞いたぞ!
この薄汚い悪党の穢れた血め!!」
マルフォイは森田に食ってかかった。
森田「ククク…まあ、否定はしないさ…
つまり…少なくとも俺は善人なんかじゃない…!」
96 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/07/31(金) 23:59:50.71 ID:kUTOBBAO0
森田「俺がこの金を入手したルートを話すわけにはいかないが
これは、かなり危ない橋を渡って手に入れた金。
最低でも数回は、死線をくぐる覚悟がなければ、
これだけの金は手に入らない…。
それこそ、薄くまっとうな人生じゃつかめないような金さ」
マルフォイ「何を訳のわからないことをぺらぺらと…
盗んだようなもんじゃないか!!」
森田「ククククク…。
吠えるなよ…吠えたってかわりゃしねえさ」
よかった。
規制は解除されてた
97 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/08/01(土) 00:02:05.75 ID:3Ea5v4q30
森田「俺は悪党さ。
そして、お前の父親もな。
この1年間で、その悪党がお互いにぶつかり合って
俺が勝った。ただそれだけだ」
森田は、ドラコをじっと見て続けた。
森田「だから、もし、お前が俺を倒したいと思うのならば
いつの日か、俺をも超える悪党になって、
俺を倒しに来い。
俺はいつでも受けてたとう。
そしてもしも今、お前にその意思があるのなら、むしろふんぞり返れ…!!
お前はまだ、負けちゃいないんだから。
お前たちの、その人をなめきったような態度…
俺は嫌いじゃなかったぜ…」
森田先生はそういうと、静かに教室を出て行った。
そして、今学期の終わりを告げるベルが鳴り響き、
ハリーと森田の長い1年間は幕を閉じた。
~
100 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/08/01(土) 00:03:13.56 ID:3Ea5v4q30
翌日、ハリーはウィーズリー兄弟とともに、ホグワーツ特急に乗っていた。
夏休みに入る前に、魔法を使うことを許された最後の数時間を
みんなは、十分に楽しんだ。
フレッド「利根川にしろ、森田にしろ
マグルにはとんでもない連中がいるもんだ」
ジョージ「まったくだ、あいつら信じられねえことを
平気な顔してするんだもんな」
双子が独占したコンパーメントの中でつぶやいた。
ハーマイオ二―「今回のことでマルフォイも、少しは
大人しくなるんじゃない?」
ハリー「それは、どうかなあ」
ハリーが笑って答えた時、ホグワーツ特急は速度を落としはじめ、
やがて停車した。
ロン「来年はいったいなにが起こるのかな」
ハリー「さあね。また誰かが死にかけるようなことがなければ良いけど」
そして、3人は一緒に柵を通り抜け、マグルの世界へと戻って行った。
おしまい
101 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/01(土) 00:05:02.95 ID:3Ea5v4q30
もし需要があれば、
あと数回は続けていきたいと
思うのですが、どうでしょうか?
102 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/08/01(土) 00:07:59.97 ID:4ZT+io7x0
需要あります!!
103 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/01(土) 00:19:22.13 ID:vqCHcpnLP
利根川のときより盛り上がらなかったのは
森田の知名度の問題だろうか
104 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/08/01(土) 00:25:24.99 ID:3Ea5v4q30
>>103
めげずに次回は黒沢先生をホグワーツへ
赴任させるつもりです^^
105 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/08/01(土) 00:28:09.25 ID:4ZT+io7x0
なんだと・・・?
111 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/08/01(土) 01:11:41.44 ID:3Ea5v4q30
あ、長くなったので省略した
利根川のパートを一応残してあるんですが
読みたいかたいます?
112 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/08/01(土) 01:13:36.81 ID:zN3XOEFd0
ハイッ!
ハイッハイッ!!
ハイッハイッハイッ!!
ハイッハイッハイッハイッ!!
読みたいっす!!
115 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/08/01(土) 01:20:40.36 ID:ryqlnlIF0
需要ありまくりんこ
お願いしまんこ
116 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/08/01(土) 01:21:38.46 ID:3Ea5v4q30
8月のある日。
魔法省からのフクロウ便に同封されていた
切符を使い飛行機へ乗っていた。
利根川は12時間という長いフライトの中、
一か月かけて作った「マグル学」の
カリキュラムを見直していた。
利根川はマグルの世界へ戻る前に
何年生を受け持つことになっても対応できるよう
O.W.L(ふくろう/普通魔法レベル試験)と
N.E.W.T(いもり/めちゃくちゃ疲れる魔法テスト)の
マグル学の参考書と過去問を、ホグズミートで購入し
出題範囲別に部分分けし、整理した
”利根川式 マグル学用テキスト”
まで作っていたのだ。
利根川「せっかく作ったのに、無駄になってしまったな」
118 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/08/01(土) 01:23:37.34 ID:3Ea5v4q30
利根川は、ダイアゴン横丁を歩いていた。
クラウチ氏の手紙によると、マグル製品不正使用取締局に勤める
職員が、自ら利根川の送迎申し出たらしい。
利根川「役人とは、どこの世界も妙な言い回しをするものだ…」
利根川が商店街を見て歩いていると、去年受け持った生徒と目があった。
ロン「あ、あの人が利根川先生だよ」
生徒の父親と思われる人物と目が合い、利根川は一礼をした。
しかし、なぜか相手の方は礼を返すどころか、尋常ならざる速さで
利根川の方へ向けて疾走してきた。
アーサー「ほっほう!!なるほど!あなたがマグル学の!!
ほっほう!!」
~
122 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/08/01(土) 01:30:37.17 ID:3Ea5v4q30
アーサー「いやいやいや、私の息子たちから素晴らしい先生が来たと
手紙をもらいましてな。
なんとそれが完全なマグルというではありませんか!」
ウィーズリー氏は、夫人を呼び寄せると、一方的に続けた。
アーサー「ほら!みてごらん、モリー!!
これはネクタイというんだそうだ!!
実に独創的じゃないか!!」
そう言って、妻の顔を見た瞬間、ウィーズリー氏は我に返った。
他人から見ると笑っているように見える妻のそれが、
一番怒っている時の顔だということを認識できたからだ。
125 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/08/01(土) 01:39:55.36 ID:3Ea5v4q30
アーサー「あー…いや、失礼しました。
私がマグル製品不正使用取締局の
アーサーウィーズリーです。
この度は魔法省へのご就業されましたことを
お祝い申し上げます」
アーサーは事務的な口調で利根川に挨拶した。
アーサー「そうだ…それで…
今晩の宿はもうお決めになられたのですか?」
利根川は、アーサーの言動に面食らいながらも、
去年ハグリッドに教えてもらった”漏れ鍋”に泊まるつもりだと答えた。
アーサー「その…それはいけない。
いや…いけないことはないのだが…
つまりですな、魔法省へご案内するまでの一晩くらいなら
うちへ泊まってもらっても一向に構わないと申しますか…」
利根川は断ろうとするも、ウィーズリー氏は強引に利根川を
家に泊めたがろうとする。
アーサー「そうだ!!家庭訪問だと思えばいい!!
ほら、子供たちも待っていますので」
126 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/08/01(土) 01:47:46.70 ID:3Ea5v4q30
そうして、利根川は半強制的にウィーズリー家へ招かれた。
また利根川は、生まれて初めて大勢に囲まれる
温かい家庭の食事を体験した。
ウィーズリー家の子供たちは、順番に利根川に話しかけた。
フレッド「俺達、先生のおかげで人生の抜け道をみつけられそうなんだ!!」
双子は、嬉しそうにこれからの将来の希望を利根川に語った。
ロン「今年はホグワーツへ戻らないんですか?」
パーシー「監督生という立場から、ダンブルドアに提言してみますよ」
また、遊びに来ているらしいポッターからは去年の終業式のことで
礼を言われた。
利根川は、いつになく自分の居場所を実感できたような気がした。
~
127 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/08/01(土) 01:51:56.22 ID:3Ea5v4q30
ただし、やっかいだったのは、ウィーズリー氏だった。
食事が終わった後も、利根川を正面に座らせようとし、
4時間にわたり、マグルの生活について質問攻めにしたのだ。
アーサー「聞いたかね?モリー!!
マグルは魔法がなくても何とかやっていく方法を
こんなにも沢山考え出すんだ!!」
そのせいで、妻のモリーは、4時間の間で
最低15回は利根川に頭を下げるはめになった
~
128 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 2009/08/01(土) 01:53:02.96 ID:3Ea5v4q30
そして、翌日。
朝食を終えた、2人はロンドンの中心街を歩いていた。
建物はだんだん厳めしくなり、やがてかなりみすぼらしい
オフィスが数件とゴミのあふれた家屋が建ち並ぶ通りに着いた。
アーサー「さあ、ついた」
2人は壊れた電話ボックスに入りダイヤルを回す。
『魔法省へようこそ お名前とご用件をどうぞ』
器械的な声が響いた。
アーサー「マグル製品不正取締局のウィーズリーです。
利根川幸雄氏をお連れしました」
『ありがとうございます。 外来の方はバッジをお取り下さい』
バッジには「利根川幸雄氏 魔法省非常勤職員」
とだけ書かれていた。
129 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/08/01(土) 02:00:25.10 ID:wXeaF+fGO
アーサー「さあ、この奥が国際魔法協力部です」
エレベーターを降りると利根川を一人の男が出迎えた。
クラウチ「やあ、よくいらっしゃいました。
わたしが国際魔法協力部の部長。
バーティ・クラウチです」
利根川「お招きいただいたことに感謝いたします」
握手をかわし、利根川は奥へと案内される。
クラウチ「去年の功績はもとより、
マグル世界でのあなたの素晴らしい功績も
拝見しましたよ。
あなたには、国際魔法貿易基準機構を
取り仕切ってもらいたい」
130 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/08/01(土) 02:04:58.23 ID:wXeaF+fGO
>>1です。
中途半端ですが、
これで、省略した利根川先生の部分は終わりです。
以降の活躍は、後日のSSに織り混ぜて
書いていこうと思います
m(_ _)m
132 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/08/01(土) 02:30:26.17 ID:ftjaInLo0
乙
次回作も期待してるぜ
134 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/08/01(土) 02:40:49.86 ID:Wp8XNcokO
あっぶねえ見逃すとこだった
先に>>1乙
135 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/08/01(土) 02:41:01.78 ID:YJlyCT0LO
森田って誰だっけ
137 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/08/01(土) 03:02:16.52 ID:W4CaOGqM0
>>135
金と銀の主人公
それにしてもおもしろい
今後の話の中で零が出ないかな
元スレ:http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1249040559/
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