1 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 01:10:47.30 ID:RYF1USZIP
女「ボクは宇宙人だ」
男「なんだそれ」
女「ふふ、驚いたかい?」
男「くだらん冗談はだな……」
女「冗談じゃないから」
男「……」
女「冗談じゃ、ない」
2 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 01:12:22.91 ID:RYF1USZIP
やつは。
笑いながら、変な冗談を言った。
女「ボクは君をずっと観察している」
男「……」
よくわからん。
こいつが何を言ってるのか、さっぱり。
3 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 01:14:12.22 ID:RYF1USZIP
女「おや? なんだかものすごく変な顔をしているよ」
当たり前だ。
変なこと言ってるやつを目の前にして。
変な顔をしないわけがない。
女「欲情したのかな?」
するわけがないだろう。
女「ボクは宇宙人なんだよ?」
だから、してないって。
5 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 01:17:17.49 ID:RYF1USZIP
男「お前、めんどくさいぞ」
女「めんどくさい?」
男「おう」
少し思案顔をして。
女「……宇宙人だからね」
と、笑う。
7 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 01:20:04.17 ID:RYF1USZIP
男「じゃあ具体的に、どこの星からやってきたんだ?」
女「君の知らない星さ」
男「……」
女「それを知って何になるんだい?」
男「いや、とくに」
何もしないけど。
女「ボクの個人情報を知ることで、ボクを奴隷にしようとしているのかい?」
飛躍しすぎだ。
9 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 01:22:30.55 ID:RYF1USZIP
女「しかし、この星にはそんなシステムがあるのかい?」
男「知るか」
女「君はこの星の一員なのだろう? なのに知らないのは、駄目だろう」
男「……」
うわぁ。
面倒くさい。
女「君はボクのこと、どう思ってるんだい?」
男「めんどくさい」
女「じゃあ、どう想ってるんだい?」
男「……めんどくさい」
めんどくせー。
11 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 01:24:59.72 ID:RYF1USZIP
女「ふふっ、そうか」
やつは小さく息を吐いて。
女「ボクが意地悪になれば、君も意地悪になるわけだ」
男「……」
女「人間というのは、面白いね」
お前も、人間だろう。
12 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 01:27:43.66 ID:RYF1USZIP
男「やれやれ」
女「どうしたんだい?」
男「明日の宿題、まだ終わってないんだ」
女「おや、そうなのかい?」
男「……」
女「……見せて、欲しい?」
そう言って。
やつは短めのスカートの先をちょいっと摘まんで、あげて見せた。
男「お前は何をみせるつもりだ」
興味ない。
13 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 01:30:22.66 ID:RYF1USZIP
勘違いしないでくれ。
ただ、こいつのスカートの中身に興味がないと言っただけだ。
モーホーではない。
ちょっと、業界用語みたいな感じ。
どうでもいいか。
女「ふふ、宿題だけど?」
意地悪に笑う。
男「いい、自力でやる」
女「君の苦手な教科だったはずだよ」
なぜ知っている。
16 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 01:34:55.95 ID:RYF1USZIP
女「なぜ知っている、みたいな顔をしているね」
心を読めるのか?
女「君を観察しているんだから、それくらいわかるさ」
男「ふぅん」
女「それで、どうするんだい?」
ニコニコと笑いやがって。
男「いい、一人でやる」
女「一人で?」
そう言って。
やつは手を上下に振り始める。
女「一人、で?」
中学生か。
17 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 01:37:50.93 ID:RYF1USZIP
女「一人でできるなんて、利口だね」
さすが人間だ、と言う。
男「……しねぇよ」
女「じゃあ、ボクが手伝ってあげよう」
男「宿題をだよな?」
女「? 自力でやるんじゃないのかい?」
ああ、こいつは本当に。
めんどくさい。
18 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 01:43:06.73 ID:RYF1USZIP
女「ボクが手伝うのは……」
そう言って。
俺の近くにやってくる。
男「近づくな」
女「なんでだい?」
男「いいから、近づくな」
女「ボク、宇宙人だからわかんない」
そう言って、俺の言葉を無視して歩いてくる。
こんな流暢な宇宙人がいてたまるか。
19 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 01:47:01.54 ID:RYF1USZIP
男「やめい!」
立ちあがり、逃げる俺。
女「逃がさない!」
笑いながら追いかけるやつ。
くそ、部屋じゃ狭い!
女「ふふふ、追いつめたよ」
ニッコリと笑う。
なんか、怖い。
20 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2010/12/12(日) 01:49:21.36 ID:shAZwUs2O
室内だったのか
21 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 01:50:04.96 ID:tQIx58Wb0
>>20
外で宿題はしないだろ
22 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 01:51:07.75 ID:RYF1USZIP
男「いいから、宿題をさせろ!」
女「君の今の発言の、『宿題を』という部分を無くすと、とても卑猥だよね」
どうでもいいわ!
女「ボクは……宇宙人だけど、エッチには興味がある」
男「無くていい!」
そんなところにかぎって興味持ってんじゃねえ。
23 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 01:55:55.61 ID:l/VKBUEIP
/´゙`ヽ、
/ ヽ
,/./ ,...., ;ii、
('/.i ( (,,) i::b
i' i `゙゙´ :「:::b
. | | .丿:::h
. 'i| i /´`ヽ,|::::::h 流暢に日本語を話す宇宙人がいると聞いて
r' | `゙'- ノ⌒ヽ
/´tl i 〈,´゙`ソ/´'' ヽ
丿i;:::ti| ( `ヽソ/::::::ゝ 'i
| ̄ ̄ ̄ ̄||'`i;t:| i`'''ノ/::::λ::;;} |
| FMV || |ノ::ヽ,,ソノ::::::/´⌒ヾノ
,,..|____|トェェェェ;;::::::::;;;;/ 'λ
(..,,,,________,,..)::´/λ ノミi
| |__,| |____| |;;;;/ノ//)ノノ
|,,,,| | | |,,,.|
'''''
25 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 02:02:31.25 ID:RYF1USZIP
女「そして……」
そう言って。
俺の下半身を指差して。
女「コッチにも、興味がある」
なにカッコよく言ってんだ。
ただの変態アピールじゃねえか。
26 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 02:07:04.58 ID:RYF1USZIP
男「変態!」
そう言って。
頭を容赦なく叩く。
女「おっと、女の子に手を出すなんて」
男「お前をオンナだと思ったことは少なからずない」
今の言動とかでも、な。
女「やはり、同性愛者なのかい?」
なぜ、そうなる。
27 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 02:10:08.50 ID:RYF1USZIP
男「は?」
女「おっと、変なことを言ってしまった、気にしないでくれ」
男「……」
ええ~。
なんか、歯切れ悪い。
一応、否定しておこう。
男「いや……俺、オンナめっちゃ好きだから。同性愛者じゃ、ないから」
なんか、ぎこちない。
なぜ口走ったのか理由を教えてくれ。
早急に!
28 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 02:19:45.07 ID:RYF1USZIP
女「怪しいなぁ……この星ではそういう人も少なくないみたいだけど」
男「お前、昨日本屋で見ただろ」
腐ってないくせに。
女「……ふふふ」
なんだその笑い。
男「はぁ……」
ため息をついて、俺は自分の勉強机の椅子に座った。
男「邪魔するなら帰れ。手伝うなら全力で手伝え」
29 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 02:25:25.30 ID:RYF1USZIP
女「……そんなこと言われたら」
そう言って、俺の横にやってきて。
女「手伝うしか、ないよね」
ニッコリと笑う。
男「……」
女「……」
男「いや、教えろよ」
女「わからないのかい?」
すっげえ驚いてる。
悪かったな。本当に苦手なんだ。
30 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 02:30:06.93 ID:RYF1USZIP
女「……はぁ」
男「……いや、本当に悪いな」
女「違うよ、そんなことにため息を吐いたんじゃない」
じゃあ、なんだ。
女「ボクにももうすこし胸があれば、ね」
と。
少し丘があるくらいの胸をさする。
女「教えてるときに、わおっ……な展開に」
おっさんか。
31 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 02:49:19.56 ID:RYF1USZIP
男「そういうのは俺が普通考えるもんだ」
お前が考えることじゃ、ないだろう。
女「おや? 君は大きいのが好きなのかい?」
男「大好きだね、大きいの」
『大きいの』を強調してみる。
女「ふむ、大きいの……ね」
しかし、やつはニヤリと笑い。
女「小さいのも、いいと思うけどね」
そりゃあ、負け惜しみってやつだ。
33 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 03:15:26.01 ID:RYF1USZIP
女「小さいものの感触は、とても気持ちいいと聞くよ」
どこ情報よそれ。
女「触ってみるかい?」
男「触るかよ」
集中できねぇだろ?
女「気に障ってみるかい?」
……その発言が気に障る。
41 : >>35 YES[] 2010/12/12(日) 09:10:45.34 ID:RYF1USZIP
女「ふふふ」
なに笑ってやがる。
男「あのなぁ……そろそろ本当に」
女「大丈夫さ、本腰を入れるから」
男「……」
まだ本腰入れてなかったのか。
女「本腰を入れる……なぜだか妙に卑猥だね」
男「腰に反応してんじゃねえ」
女「あはは」
お見通しか、と。
口の端を釣り上げて言った。
43 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 09:19:39.32 ID:RYF1USZIP
そんなこんなしていると。
とりあえず、宿題を済ませることができた。
男「ふぅ……」
女「お突かれ」
男「変な漢字を使うな」
女「お憑かれ」
男「そういえば肩が重いな……」
女「おや、大丈夫かい?」
男「お前が負荷をかけてるからだけどな」
肩に手を置くだけならまだしも、体重をかけやがって。
44 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 09:27:36.05 ID:RYF1USZIP
女「まあ、お疲れ」
男「教えてくれて、ありがとうよ」
女「ふふ、これくらいならお安い御用さ」
わかりやすくて、正直驚いた。
いつも日本語がおかしいやつだから。
女「宇宙人なら、こんな数式容易いよ」
……。
ああ、その設定まで生きてたのか。
48 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 14:16:20.72 ID:RYF1USZIP
男「ふわぁ……」
と、一つ欠伸。
女「眠いのかい?」
男「おう、ちょっと疲れた」
女「そうか」
やつは、肩に置いていた手を外し。
女「じゃあ、今日は帰るよ」
と、潔く帰る宣言をした。
49 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 14:18:29.69 ID:RYF1USZIP
女「それじゃあ、また明日」
男「おーう」
そう言って。
やつは軽く俺の頬に。
キスをした。
男「……」
女「ふふっ」
そして、部屋を後にした。
50 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 14:58:39.71 ID:RYF1USZIP
男「……なんだよ」
いきなり。
何しやがる。
男「……はぁ……」
寝よう。
なんか、疲れちまった。
突かれちまった。
……うん、疲れてるな、寝よう。
52 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 15:04:02.37 ID:RYF1USZIP
朝。
俺は目覚ましに起こされるのではなく。
妹なるものに起こされる。
妹「起きましょう!」
そう言って、布団を剥ぎ取られる。
男「さっむぅ!」
妹「下にはストーブあるから暖かいよ」
男「お前の言い方が冷たい」
妹「言葉に温度はないです」
……さっみぃ。
54 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 15:45:06.93 ID:RYF1USZIP
男「お前に優しさはないのか」
妹「学校に遅れないように毎回起してる身にもなってよ」
男「……」
妹「それを考えたら、相当優しいと思うけど?」
男「……あー」
確かに、そうかもしれない。
妹「いいかげん目覚まし使ってよねー」
56 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2010/12/12(日) 16:31:03.86 ID:v5iGDpn+0
あなた様の書くボクっ娘は大変好ましいです
57 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 16:48:18.14 ID:RYF1USZIP
男「妹よ」
妹「なに? ドラマのタイトル言っちゃって」
男「そんな古いドラマよく知ってるな」
見たことねぇよ。
男「まあ、真面目に答えろ」
妹「へいへい」
汚い言葉を使う妹だ。
58 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 16:55:08.50 ID:RYF1USZIP
男「もしもだ。付き合ってない奴にキスされたらどう思う?」
妹「殺す。後にうがいする」
男「物騒だな」
妹「だって、それがファーストキスだったら嫌じゃん」
男「いや、頬とかだったら」
妹「殺す。後に洗浄する」
男「……」
妹「そんなこと聞くってことは……ほほう」
ニヤつくな。
59 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 16:59:13.25 ID:RYF1USZIP
男「俺はどうするかを聞いたんじゃない。どう思うかだ」
妹「人に寄るでしょう。別にキスされてもいいと思う人だったら、何も言わないし」
男「……」
妹「で、誰誰?」
男「いいから、下行け」
妹「ちぇ~、まあ、十中八九、女さんだろうけど……。じゃあ、お兄ちゃんも早く下来てね」
男「おう」
妹「下、着てね」
男「着とるわ」
そして、俺の一日が始まった。
65 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 19:38:26.37 ID:RYF1USZIP
男「いただきます」
妹が調理した飯を食う。
妹「今日もバランスのとれた食事でしょ?」
男「よくわからん」
しかし、見た感じ、野菜が少ない気がするけどな。
妹「野菜も結構入れてるから、見た目以上に入ってるよ」
男「ほほう」
美味い。
妹「で、キスしたの?」
美味いなあ。
男「美味しいぞ」
妹「スルーすな」
66 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 19:43:59.11 ID:RYF1USZIP
男「今俺は飯を食ってるんだ」
妹「私もご飯食べてます」
対面で食ってるから、それはわかる。
男「食うのに集中しろ」
妹「キスぐらいでおおげさだね」
男「……なんだよ、お前」
ませたガキだ。
妹「私はしたこともされたこともないけどさ。そんなに触れられたくないわけ?」
したことないのかよ。
……まあ。
俺もしたことはないな。
67 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 19:56:00.04 ID:RYF1USZIP
男「別に、そういうわけじゃねえよ」
妹「ふぅん」
男「……」
妹「質問したくらいなんだから、結構考えてるんでしょ?」
男「……」
そうなのだろうか。
妹「じゃあ、誰としたかはもう聞かない。それで、どう思ったの?」
男「俺がか?」
こくりと頷く。
68 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 20:01:06.06 ID:RYF1USZIP
男「……別に」
妹「なにそれ」
意味分かんない、と。
味噌汁を啜った。
男「お前だったらどうなのか聞いただけだ」
妹「なるほどね」
男「ご馳走さま」
妹「お粗末様」
朝は淡々と飯を食う。
69 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 20:08:02.43 ID:RYF1USZIP
男「……ん?」
部屋に戻って、窓を見てみれば。
男「……」
やつがいる。
男「やれやれ」
俺は制服に着替え、急いで支度をする。
……まあ、たいてい置いてるから別に支度は簡単なもんだ。
70 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 20:15:06.58 ID:RYF1USZIP
男「行ってくる」
妹「いってらっしゃい」
この時に見せる妹の笑顔だけは可愛い。
がちゃりと開けて。
やつがいると思えば。
男「!」
女「おや」
奴はなぜか、上半身ブラ状態だった。
こんな寒い日に。
71 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 20:20:01.08 ID:RYF1USZIP
ちゃんとシャツやらは持ってきてはいるようだ。
男「なんだその格好」
女「ちょっと気になってね」
なにがだ。
女「ほら、ボクの胸は貧しいのかどうかをだよ」
ああ、そんなことか。
女「どう思う?」
男「貧困に飢えてるな」
どストライクに言ってやった。
72 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 20:28:16.70 ID:RYF1USZIP
女「やはり、小さいのか」
残念そうに言った。
女「まあ、仕方ないか」
意外と諦めが早かった。
ゆっくりと着始める。
女「……と。またせたね」
男「別に」
そして、俺たちは歩き始めた。
73 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 20:32:11.71 ID:RYF1USZIP
女「そういえば」
男「ん?」
なんだ。
女「胸は揉むと大きくなるそうだよ」
男「ふぅん」
女「揉まれるとさらに……ね」
男「ふぅん」
女「だから、実験だ。モミモミ、ゴー」
男「は?」
74 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 20:37:53.78 ID:RYF1USZIP
胸を張り、俺に向かい合う。
男「?」
女「さあ、揉みたまえ、揉みしだきたまえ」
男「意味がわからん」
女「胸を、揉んでくれと言ってるんだが?」
えっと。
男「悪いんだが……」
女「恥ずかしいのかい? ふふ」
男「どこに胸がある」
79 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 22:04:20.64 ID:RYF1USZIP
女「おっと」
それは盲点だった、と。
後頭部をかきながらそう言った。
女「だったら、こっちを揉むかい?」
そう言って。
俺に尻を突きだした。
……なに言ってんだこいつは
80 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 22:07:57.01 ID:RYF1USZIP
男「お前、それはバランスが悪くなるぞ」
女「ふふ、そうだね」
よくわかってる、と。
そう言って、俺の隣に戻り、また歩く。
男「やれやれ」
女「ない胸は揉めない……か」
そんなことを。
ボソッと言っていた。
81 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 22:14:12.48 ID:RYF1USZIP
学校に着いてみれば。
やつは笑わなくなる。
怖いくらいに。
冷静な顔になる。
本当にそれは。
機械みたいに。
宇宙人みたいに。
……。
82 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 22:18:26.28 ID:RYF1USZIP
まあ、宇宙人が笑わないわけじゃないよな。
ただの比喩表現。
でも、そんなあいつは。
男「おい」
女「……? なんだい」
俺が話しかければ。
また、笑う。
84 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 22:25:05.70 ID:RYF1USZIP
ほかのやつとは最低限の会話をし。
平坦な喋り方をして。
関わろうとしない。
まるで、ネジのない、ネジまき人形みたいだ。
そう考えると。
俺は、ネジの役割になるのだろうか。
85 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 22:26:42.13 ID:RYF1USZIP
女「何を考えているんだい?」
男「ん?」
女「話しかけただけ、かい?」
男「ん、ああ」
別に話すこともなかったのに。
話しかけてた。
男「ただ、話しかけただけだ」
女「そうか」
それでも嬉しい、と。
目線を本に戻しながら言った。
87 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 22:34:26.90 ID:RYF1USZIP
クラスメイトの評価は。
あまり良くない。
喋らず。
行事にも消極的。
しかし。
テストの点数は高く、成績も優秀。
オトコにも好かれている。
まあ、可愛いっちゃあ可愛い方ではある。
体つきも小さく、ちょこんとしているし。
クラスメイトの評価ってのはあながち、オンナの評価かもしれないな。
いわゆる妬みみたいなもの……か。
88 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 22:40:02.81 ID:RYF1USZIP
運動もできるから、尚更だろう。
声も綺麗。
まあ、俺にしてみれば。
性格は結構キてるし。
変な奴だと思う。
そして、そんな俺は。
「なぜお前にだけは笑顔なんだ」と。
よく妬まれる。
90 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 23:23:44.79 ID:RYF1USZIP
知らん。
そんなこと言われても。
女「……」
本を読んでいるやつは。
本当に、置物みたいだ。
男「……」
91 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 23:41:58.78 ID:RYF1USZIP
授業中。
ふと、やつを見る。
真面目に取り組んでいる。
笑顔は、無い。
女「……!」
こっちに気づいたようだ。
笑顔で、軽く手を振ってきた。
ずっとその顔でいればいいのに。
92 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 23:47:52.18 ID:RYF1USZIP
授業が終わり。
やつはすぐに本を読み始める。
……昼食時間だぞ。
まあいいや。
俺は一人で食べよう。
さーて、今日の弁当はっと……。
93 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 23:50:31.48 ID:RYF1USZIP
……ああ、もう。
男「おい」
女「?」
男「飯だぞ」
女「ああ、そうだったね」
ニッコリと笑う。
女「気づかなかったよ」
男「ちゃんと食べろよな」
女「食べるさ」
いつも俺が話しかけなかったら、食わないくせに。
94 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 23:55:21.25 ID:RYF1USZIP
女「はむっ」
相変わらず、やつはマイペースだ。
女「うん、美味しいね」
男「俺の弁当のおかずをとるな」
なに普通に取ってんだよ。
女「いいじゃないか、減るもんじゃないし」
男「減るもんだ」
95 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/12(日) 23:58:38.27 ID:RYF1USZIP
女「ボクの中に残っているから、減らないよ」
男「少なくとも、俺は食えない」
女「吐こうか?」
男「やめい」
なんでそんなことを笑顔で言える。
……お、おお……。
周りの視線が怖いぞ。
頼むからこいつも、他の奴にも笑顔を振りまいてほしい。
98 : >>96 一人いてくれれば十分[] 2010/12/13(月) 00:01:59.75 ID:u5rqzZILP
男「お前……なんで笑わないんだよ」
女「え?」
男「俺と話をしてる時以外、お前いっつも無表情だろ?」
女「そんなところ、見てるんだ」
驚いている。
当たり前だ。
全然雰囲気変わるし。
二重人格かと思うぞ。
101 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 00:04:23.08 ID:u5rqzZILP
女「うーん……」
笑いながら、思案している。
女「逆に質問なのだけど」
そう言って、顔を近づける。
女「君以外に笑って見せて、どうなるの?」
よくわからない質問だった。
103 : >>102 綺羅星[] 2010/12/13(月) 00:12:13.51 ID:u5rqzZILP
男「そりゃあ……」
女「ボクの笑顔は、本当に心のこもった笑顔だ」
らしい。
女「君以外じゃあ、愛嬌を振りまくような笑顔しかできない」
心のない笑顔さ、と。
なんだか寂しく言った。
女「だから、君にしかできない」
……。
要領の悪い奴だ。
105 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 00:26:26.51 ID:u5rqzZILP
男「……そうかい」
まあ、無理に強要するのはよくないな。
無理に強要って。
間違った使い方はよくないな。
頭痛が痛いみたいじゃねえか。
女「とりあえず、時間も無いから、早く食べたほうがいいと思うよ」
男「ん?」
本当だ。
結構時間押してるな。
106 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 00:41:01.93 ID:u5rqzZILP
妹の作ったご飯をさささっと、食べる。
美味いから味わって食いたいところだが。
今はそんなことを言っている場合じゃない。
あ、でも。
一つ気になることがあった。
男「お前、この前の告白は?」
女「え?」
107 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 00:49:08.56 ID:u5rqzZILP
男「ほら、サッカー部の超イケメンの先輩の件」
女「なんだっけ?」
男「ほら、なんか手紙に、校舎裏に~みたいな古典的なラヴレターを書いた人だよ」
女「その日は一緒に帰ったじゃないか」
男「」
そういえば、そうだ。
110 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2010/12/13(月) 01:11:27.51 ID:53CPGxMt0
女が露骨なまでに照れたり残念がったりしない作風は好みだ
111 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 01:12:31.26 ID:u5rqzZILP
女「行こうか迷っていたボクを無理やり引っ張って……」
男「嘘つけ」
そんなことはない。
女「嬉しかったなぁ」
妄想が止まらないようだ。
男「そんなことしてなかったはずだ」
女「もちろん、ボクの脳内でのみだよ」
だ、駄目だこいつ。
113 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 01:18:17.07 ID:u5rqzZILP
女「乙女ビジョンをボクは実装しているんだ」
男「お前からは想像できそうもないオプションだな」
女「君にされたことを、すこーし乙女チックにするオプションです」
すこーし、ね。
内容変わってたじゃねえか。
男「大分、だな」
女「おおいた?」
男「だいぶ」
114 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 01:28:46.49 ID:u5rqzZILP
女「そうかな?」
男「あの時俺は、『行かなくていいのか?』って言ったはずだ」
女「乙女ビジョンからは『行くなよ、俺以外のオトコを見るなよ』と聞こえたよ」
ほらー。
もう内容変わってるじゃないですかー。
大分以上に。
全てじゃないですかー。
117 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 01:40:16.13 ID:u5rqzZILP
男「じゃあもしも、だ」
女「ん?」
男「俺が、『好きだ』って言ったら、どうなる?」
女「『お前の骨の髄まで吸いつくしてやる』……かな?」
猟奇的だな!
118 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 01:46:27.99 ID:u5rqzZILP
男「それキャラ変わってるじゃねえか」
女「そうだね」
まあ、そんなこと言われたら、
女「そのままだろうけどね」
と、言った。
……むぅ。
そんなもんか。
『好きだ』ってのは、乙女チックなもんなのか。
119 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 01:52:19.74 ID:u5rqzZILP
男「……」
妹に『好きだ』と冗談で言ったとき。
『そういうこと平気で言うな』
と、殴られたことがある。
妹のくせに。
ませてやがる。
女「ふふ、チャイム、鳴ってるよ」
男「あ、ああ、そうだな」
そうして、午後の授業が始まった。
122 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 02:01:15.73 ID:u5rqzZILP
午後の授業はつつがなく終わった。
あ、宿題提出できてよかった……ってぐらい。
ホームルームにて。
今回。
凄く珍しいのだが。
席替えをすることになった。
できれば後ろ窓際!
頼むぜ……てりゃあ!(紙を引いている)
123 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 02:06:36.47 ID:u5rqzZILP
>>122
訂正。
窓際→窓側
男「……」
ひゃっふぃ! 窓側ひゃっふぃ!
ラッキーすぎる!
そして。
男「……」
女「隣だね」
あー、マジかよ。
124 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 02:10:05.76 ID:u5rqzZILP
隣といっても。
すこし距離はあるんだけども。
男「そうだな」
女「ふふ……」
そして。
クラスのオトコからの視線が殺気混じりになったのは言うまでもない。
やべー。
いつか殺される。
125 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 02:22:48.84 ID:u5rqzZILP
そして。
放課後である。
男「さて……と」
女「帰ろう」
男「おう」
そんなとき。
教室のドアの前に。
イケメンがいた。
ああ、あのサッカー部の人だ。
なんかソワソワしてるぞ。
127 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 02:28:43.88 ID:u5rqzZILP
一人のオンナを捕まえて、なんか話してるみたいだ。
男「……」
そのオンナが来て。
やつに話をしている。
女「……」
俺にアイコンタクトして。
そのイケメンに寄って行った。
129 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 02:44:16.62 ID:u5rqzZILP
さて。
俺はどうしようか。
うん。
帰ろう。
迅速に。
速攻でね。
130 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 02:46:15.99 ID:u5rqzZILP
一人で帰るのは久しぶりだ。
たいてい、かくれんぼに付き合わされたりするからな……。
まあ、それは置いといて。
結構早いな。
ちょっと、商店街寄るか。
商店街食べ歩き珍道中やるかな。
金もあるし。
131 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 02:52:34.82 ID:u5rqzZILP
……ん?
妹「あ」
男「おう」
妹に遭遇。
妹「一人?」
男「なにしてんだお前」
妹「買い物」
男「庶民派妹万歳!」
妹「見づらいよ」
テンション高めできもい、と。
平坦な口調で言われた。
132 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 02:54:59.88 ID:u5rqzZILP
男「兄に向ってきもいとはなんだ」
頭を殴る。
ゴツン。
妹「妹に暴力とはこれいかに!」
テンション高めだ。
よかった。
本当にきもいとは思ってないみたいだ。
156 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 19:26:42.13 ID:u5rqzZILP
男「今日はなににするつもりだ?」
妹「ご飯? お楽しみ」
楽しみにできるやつかどうかだが……。
妹「子供舌な人にはとっても嬉しいものだと思います」
男「ふむふむ……この材料だとハンバーグだな」
妹「エコバッグ見るんじゃない!」
ポカッと。
可愛い手で叩かれた。
158 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 19:37:24.19 ID:u5rqzZILP
妹「もう……無理やり違うもの作っちゃうよ」
男「駄目だ! 俺の大好きなハンバーグがいい~!」
妹「駄々こねないの!」
男「お前にしかこねない!」
妹「コネコネ」
男「は?」
妹「酷い……」
あはは。
妹との会話が楽しいとか。
俺駄目かもな。
160 : >>159 わりと本気で考えてる[] 2010/12/13(月) 19:44:58.62 ID:u5rqzZILP
男「あ、そうだそうだ」
妹「ん?」
男「今日の朝の質問、忘れていいぞ」
妹「どうして?」
男「別に、たいしたことじゃない気がしてな」
妹「ふーん……それよりさ、女さんは?」
男「ああ、なんか学校で用事だとよ」
161 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 19:51:00.42 ID:u5rqzZILP
妹「……なんで待ってあげなかったの?」
男「別に」
妹「怪しい」
男「……」
勘が鋭いやつだな。
男「まあ、いろいろな」
妹「教えてよ」
男「お前にはまだ早い!」
163 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 20:07:22.06 ID:u5rqzZILP
妹「ぶーぶー」
男「ほら、早く行くぞ」
妹「わかったよ……」
別に言いたくないわけじゃない。
あいつのことを、俺がペラペラしゃべるのは違うと思う。
そうだろう?
165 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 20:19:39.34 ID:u5rqzZILP
そして。
妹と身をすりよせながら家に帰った。
……ん?
いや、俺と妹はわりと仲がいいからな。
別に変なことじゃないさ。
さて、家で何やろうかな。
167 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 20:41:12.08 ID:u5rqzZILP
男「掃除……」
めんどくさいな。
男「勉強……」
めんどくさいな。
男「妹と遊ぶ……」
やろう、即やろう。
170 : >>168 もちろんです[] 2010/12/13(月) 20:56:02.80 ID:u5rqzZILP
そんなアホなことを考えていると。
男「ん……?」
着信。
男「まったく、誰だ?」
妹と楽しい時間を過ごそうと思ったのに。
男「……ん」
あいつからだ。
ピッと。
俺は通話ボタンを押した。
174 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 22:54:31.23 ID:u5rqzZILP
男「ん」
シンとしている。
男「おい?」
やつは声を出さない。
どうしたんだ?
なんか、嫌な予感。
176 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 23:23:28.21 ID:u5rqzZILP
女「あの」
消え入りそうな声。
男「お、おう」
女「今から、会えない?」
男「……」
飯時はとっくに過ぎている。
女「公園に、いるから」
男「……」
そして。
プツリと切れた。
177 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 23:33:07.68 ID:u5rqzZILP
なんだ、いきなり。
男「……」
めんどくさいなぁ。
なんで俺が行かなきゃならないんだよ。
まったく。
男「妹~」
だいたい、俺は行くも行かないも言ってないっつーのに一方的に切りやがって。
ふざけんなよな。
男「ちょっとでかけてくるな~」
妹「はーい」
……公園、だっけか。
179 : >>169 多分違う[] 2010/12/13(月) 23:37:58.81 ID:u5rqzZILP
男「ふう」
外は大分冷えていた。
着こんで正解だったぜ。
男「公園っつったら……」
もちろん、あの公園だろう。
俺とあいつが初めて会った。
あの、公園。
181 : >>180 素晴らしい能力[] 2010/12/13(月) 23:48:50.76 ID:u5rqzZILP
男「……」
ベンチに。
制服姿で。
やつはいた。
女「あ……」
こっちに気づいて、手を挙げた。
待ってました、と言わんばかりの顔だ。
183 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/13(月) 23:52:59.78 ID:u5rqzZILP
女「来てくれたんだね」
男「おう」
そう言って。
やつは俺に近づく。
女「ふふ」
手を掴まれる。
女「暖かい……」
手に、やつの顔がくっつく。
184 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/14(火) 00:01:01.62 ID:hkLMPNRAP
男「いきなりなんだ」
女「ふふふ」
くっついていた顔は離れ、俺を見ている。
女「……」
男「……」
無言だ。
男「……ああ、そういえば今日」
俺から切りだす。
男「先に帰って悪かったな」
185 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/14(火) 00:05:33.86 ID:hkLMPNRAP
女「ううん」
むしろ嬉しい、と。
やつは笑った。
なぜだ?
女「さっさと帰ってしまったことは、ボクにとってとっても誇らしいことだよ」
男「意味分からんぞ」
女「気を遣ってくれたのはわかる――」
ニコッと、微笑む。
女「――でも、それ以上に」
やつはこちらに背中を向けた。
女「ボクが絶対にあの人と付き合わないって、信じてる証拠さ」
186 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/14(火) 00:11:05.31 ID:hkLMPNRAP
……。
そうなるのだろうか。
男「別に関係のないことだと思うけどな」
女「ううん」
やつにしては、おおげさに首を振った。
女「ボクは嬉しくて、今にも胸がはちきれそうだよ」
大きくないけどね、と。
微苦笑。
188 : >>187 負けずに想像するのです[] 2010/12/14(火) 00:15:41.59 ID:hkLMPNRAP
男「……」
顔が赤い。
女「冷えてきたね」
結構前からな。
男「家、帰ってないのか」
女「鋭いね」
いや、制服だしな。
190 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2010/12/14(火) 00:19:54.27 ID:9YYYk3t2O
女ポジティブだな
191 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/14(火) 00:20:18.78 ID:hkLMPNRAP
男「とりあえず、呼んだ理由を説明してくれ」
女「そうだね」
そう言って。
ベンチに座った。
俺も、ベンチに座る。
近づいてくるので、横にスライドする。
女「寒いから、近くにいてよ」
陰謀めいたものを感じたが、仕方なく密着。
194 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/14(火) 00:43:52.85 ID:hkLMPNRAP
女「うん、暖かい」
密着だけでなく、腕を絡ませてきやがった。
男「で、なんのようだ?」
女「ああ、そうそう」
微笑んだ顔は、すこし。
真面目な顔になった。
女「ボクは宇宙人だ」
……。
まだ、引っ張るの?
196 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/14(火) 01:05:50.74 ID:hkLMPNRAP
女「ボクみたいな宇宙人は人間を調査することで、どのように生きていけばいいかがわかるんだ」
男「ふぅん」
まずい、電波な自分語りが始まった。
女「ボクは昔、本当に一人だった。どうしていけばいいのかもわからない、どう人と接しなければならないのかも」
この公園に来て。
君に出会うまでは、と。
とびきりの笑顔を俺に向ける。
女「今のボクはこうやって、笑顔でいられるのも」
男「……」
女「君のおかげなんだ」
198 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/14(火) 01:23:22.26 ID:hkLMPNRAP
男「……」
女「優しい人といると、優しくなれる」
ピトリ、と。
俺の腕に顔をつける。
女「だから、ボクは今、とっても優しいんだ」
自分で言うか、それを。
女「君が意地悪なことをすれば、ボクだって意地悪になっちゃう」
男「……」
意地が悪いのは、元からだろうけどな。
199 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/14(火) 01:26:33.25 ID:hkLMPNRAP
女「今、とっても面白い顔をしている」
男「そうか?」
女「なにか、考えていたね?」
男「そうだな」
女「……」
ジーッと。
ジットリと。
俺の目を見る。
女「ふふっ」
なんだよ、もう。
女「やっぱりボクには君しかいないね」
200 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/14(火) 01:49:22.99 ID:hkLMPNRAP
ギュッと。
してきそうになる。
男「やめい」
女「寸止めかい?」
男「いきなり何襲おうとしてんだ」
女「襲うつもりなんて……これっぽっちも思ってるよ」
男「日本語おかしいからな、それ!」
201 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/14(火) 01:53:14.71 ID:hkLMPNRAP
女「駄目かい?」
男「駄目だ」
女「どうして?」
男「お前な……」
いきなり俺の意思もなしとは、どういうことだ。
女「率直な質問をしよう」
男「あん?」
女「君は、ボクのことが好きかい?」
203 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/14(火) 02:01:09.61 ID:hkLMPNRAP
男「……」
好き。
好き。
好き……?
男「……」
女「どうなんだい?」
ニヤニヤしながら顔を近づけるな。
男「……何を言わせようとしてやがる」
女「濁すつもりかい?」
男「くだらん」
205 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/14(火) 02:15:46.56 ID:hkLMPNRAP
女「発情期」
男「は?」
女「顔、真っ赤だろう?」
確かに。
顔、真っ赤だな。
女「発情期というやつさ」
欲求不満だろうが。
207 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/14(火) 02:23:31.07 ID:hkLMPNRAP
女「ふふっ」
やっぱり簡単にはいかないね、と。
立ちあがりながら、言った。
女「そういえば、これを見てくれ」
男「ん?」
やつはソックスをあげて見せる。
女「いわゆる、絶対領域」
俺には、不可侵領域に見えた。
208 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/14(火) 02:28:35.44 ID:hkLMPNRAP
そりゃあもう、大層素晴らしいものだ。
綺麗な太ももが、少しだけ露出している。
しかし、これを侵せば俺は、死んでしまうんじゃないかと。
思ってしまうほどに美しかった。
……あれ?
俺、絶対領域とか好きだったのか?
209 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2010/12/14(火) 02:35:27.16 ID:hkLMPNRAP
女「ま、まじまじと見られると」
少し照れるよ、と。
真っ赤な顔が、さらに真っ赤になる。
男「ふん……」
そっけない感じを演出しているが、いまだに釘付け状態である。
女「……もう、我慢できない」
そう言って。
やつはソックスを下に下げた。
元スレ:http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1292083847/
- 関連記事
-
- 男「君に1000個のプレゼント」
- 女「アルパカと暮らし始めた」
- 女「地球生まれの宇宙人」
- 執事「なーんだ??」
- 男「海に行きたい」