1 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/30(土) 23:06:02.43 ID:lsGN3PGb0
僕「脇役のいないストーリーを考えたんだ」
私「ふーん」
僕「聞いてくれる??」
私「聞いてなくても話すんでしょう??」
僕「まあね」
私「ほら、話してみて」
2 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/30(土) 23:08:59.72 ID:lsGN3PGb0
僕「僕がいるだろ、そして君がいるだろ」
私「うん」
僕「で、子どもはいないけど、二人で幸せなんだ」
私「もうちょっとわかりやすくまとめなさい」
僕「家は大きくて」
私「うんうん」
僕「庭も大きくて」
私「うんうん」
3 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/30(土) 23:10:36.69 ID:lsGN3PGb0
僕「君は働きに出ていて」
私「君が働くんだろう??君の方が力持ちなんだから」
僕「まあどっちでも良いけど」
私「良くないよ」
僕「朝は珈琲とパンで」
私「君珈琲飲めないじゃないか」
僕「もうすぐ飲めるようになるの」
私「はいはい」
7 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/30(土) 23:12:42.25 ID:lsGN3PGb0
僕「お昼には僕がパスタを作ってあげる」
私「この間盛大に失敗したよね」
僕「今度はうまく作るから」
私「はいはい」
僕「で、まったり時間が過ぎるのをぼんやりと眺めてさ」
私「時間は見えないよ」
僕「気分だよ、気分!!」
私「はいはい」
10 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/30(土) 23:15:25.16 ID:lsGN3PGb0
僕「時々膝枕とかしてさ」
私「私が??君が??」
僕「どっちでも良いかな。どっちも好きだし」
私「君の膝は少し固いから、私の膝を貸してあげる」
僕「うん」
私「頭とか撫でてね」
僕「そうそう」
私「窓の外の空は夕焼け」
僕「いいね」
14 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/30(土) 23:18:07.86 ID:lsGN3PGb0
私「他には??」
僕「他にはね、うん、街の明かりが少しだけ点いててね」
私「うんうん」
僕「ネオンがきれいでね、夕焼けからネオンに変わる瞬間を楽しみにしてるの」
私「ネオンね。見たことあったっけ??」
僕「ううん。君の話でしか知らない」
私「見てみたい??」
僕「ううん、想像してるのが楽しいから良いの」
私「そっか」
19 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/30(土) 23:21:39.82 ID:lsGN3PGb0
僕「あ、でも脇役欲しいな」
私「隣の家の人とか??子どもとか??」
僕「いや、ペット飼いたいな」
私「犬??猫??」
僕「うーん、猫かな」
私「そっか。私は犬の方が好きだな」
僕「なんで」
私「犬は忠実で、気まぐれじゃなくて、私の邪魔しないからかな」
20 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/30(土) 23:21:42.68 ID:YvUURHts0
http://www.youtube.com/watch?v=2CBRfDB1CeM&videos=Jkn5tzFdjY0&playnext_from=TL&playnext=1
いいよねー
21 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/30(土) 23:24:20.25 ID:lsGN3PGb0
僕「そっか。じゃあ犬が良いな」
私「君は猫の方が好きなんじゃないの??」
僕「君が犬を好きだから、僕も犬が良いの」
私「なるほど」
僕「僕たちがもし喧嘩をしても、犬が間に入って止めてくれてさ」
私「うんうん」
僕「お互い気まずそうにしながら、でも仲直りするの」
私「うんうん」
貼ろうと思ったら・・・>>20㌧
22 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/30(土) 23:27:16.95 ID:lsGN3PGb0
僕「で、その日は犬にちょっとだけ特別なエサをあげて、一緒に寝るんだ」
私「ご褒美だね」
僕「喧嘩したら、謝るのはどっちが先かな」
私「私は謝らないな、きっと。頑固だからね」
僕「そうだね。僕が先だろうね」
私「でもすぐに許すだろうね。喧嘩なんてしたくないし」
僕「僕もだよ」
23 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/30(土) 23:30:11.48 ID:lsGN3PGb0
私「ね、寒くない??」
僕「寒くないよ」
私「まだ火、焚かなくていいかな」
僕「君が焚きたいなら、どうぞ」
私「まだいいや。もったいないしね」
僕「そうだね」
私「また寒い季節が来るね」
僕「僕は暑くても寒くても結構平気だな」
私「・・・羨ましいよ」
24 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/30(土) 23:34:13.38 ID:lsGN3PGb0
私「もっと話ないの」
僕「全然違う話しようか」
私「うんうん」
僕「無人島にね、難破して流れついた二人がいます」
私「うんうん」
僕「例えば僕と君、だとしてね」
私「うんうん」
僕「でもね、二人とも記憶喪失で、言葉がうまく喋れないの」
私「ほうほう」
僕「なんとか意志を伝えようとするけど、うまくいかない」
私「うんうん」
26 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/30(土) 23:38:43.80 ID:lsGN3PGb0
僕「お互いが誰かも分からない、生きていくのも苦労する」
私「うんうん」
僕「食べ物も水も少ないし、何より助かりそうにない」
私「うんうん」
僕「どっちが先に、死のうって考えるかな」
私「・・・」
僕「仮定の話だよ、もしその流れ着いたのが、僕と君だったら」
私「・・・私だろうな」
27 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/30(土) 23:40:43.46 ID:YvUURHts0
http://www.youtube.com/watch?v=5s5XGhhF78M&feature=PlayList&p=2708F2DAA9748463&index=2
④
28 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/30(土) 23:42:39.85 ID:lsGN3PGb0
僕「なんで??」
私「これでも私は繊細なんだよ」
僕「そっか」
私「それに君は、あんまり死について考えたことないだろうし」
僕「それはそうだな。死んだら、どうなるのかな」
私「どこに行っちゃうのかな」
僕「君もあんまり考えたことないだろ」
私「・・・まあね。まだ死にたくないしね」
29 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/30(土) 23:48:58.93 ID:lsGN3PGb0
私「でも記憶喪失ってちょっと憧れるな」
僕「どうして??」
私「たいていの人には忘れたい過去とかあるし、生まれ変わる気分を味わえそうだから」
僕「君は何か忘れたい過去があるの??」
私「どうだろうね」
僕「僕のことも忘れちゃうの??」
私「それはいやだな」
僕「記憶喪失なんかにならないでね」
私「わかってるって。ただ言ってみただけ」
30 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/30(土) 23:53:25.75 ID:lsGN3PGb0
僕「ね、お腹すかない??」
私「大丈夫だよ」
僕「なんか作るよ??」
私「今日はもういいかな」
僕「いいの??」
私「明日に、残しとこう」
僕「そうだね。もったいないもんね」
私「うん」
31 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/30(土) 23:56:05.65 ID:lsGN3PGb0
僕「あ、また別の話」
私「うんうん」
僕「僕がね、映画館に行くと、君はまだ来てない」
私「うんうん」
僕「待ち合わせしたはずなのにね」
私「うんうん」
僕「で、仕方ないから待ってるんだけど、もう上映時間になっちゃう」
僕「だから先に入って待ってる」
私「うんうん」
僕「他にお客さんはいなくって、僕一人」
私「うんうん」
32 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/30(土) 23:59:39.16 ID:lsGN3PGb0
僕「で、君が来ないまま映画が始まっちゃう」
私「うんうん」
僕「幕が開いてスクリーンが出てきて、映画が始まるよね」
私「うんうん」
僕「そうするとね、君がスクリーンに映ってる」
私「私が??」
僕「そう。君が一人っきりで、スクリーンの中で動いてる」
私「うんうん」
僕「すごいきれいな映像で素晴らしいのに、なぜか僕は寂しくなっちゃう」
私「どうして」
僕「その映画を君と一緒に見れないから」
33 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 00:01:38.42 ID:bUGYSEnd0
http://www.youtube.com/watch?v=9KOvZq6AuVY
④
34 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 00:04:22.87 ID:/5eVDkaD0
私「そっか」
僕「うん」
私「私のこと大好きなんだね」
僕「うん」
私「私も寂しいな」
僕「ん??」
私「一人で映画に出ても、きっとつまらないから」
私「私も映画に出るなら、君と出たい」
37 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 00:09:12.51 ID:/5eVDkaD0
僕「そっか」
私「うん」
僕「僕のこと大好きなんだね」
私「うん」
僕「それでね、僕が寂しく思ってると、いつの間にか君が隣の席に座ってる」
私「うんうん」
僕「僕がびっくりしてまたスクリーンを見ると、もう君は映ってない」
私「おー」
僕「風景だけが映ってる。そんな話」
私「いいね。なんかいいね」
38 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 00:12:27.89 ID:/5eVDkaD0
僕「僕がスクリーンの中に入るのと、どっちがいいかな」
私「んーどっちでも」
僕「どっちでもいいの??」
私「一緒ならそれでいい」
僕「・・・うん、僕もそうだな」
私「でしょ」
39 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 00:13:01.43 ID:ozDSmjCiO
胸のポケッ~トに~♪
40 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 00:16:40.77 ID:/5eVDkaD0
僕「ね、腕ってなんで2本あるか知ってる??」
私「いや、知らないな」
僕「誰かを守るためなんだって」
私「へー」
僕「1本じゃ、抱きしめられないもんね」
私「それは知らなかったな」
僕「もし腕の長さが10メートルあったら、遠い人も守れるのにね」
私「この長さが、守れる限界ってことなのかな」
41 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 00:20:22.75 ID:/5eVDkaD0
僕「僕は君を守れるかな・・・」
私「腕、届く??」
僕「・・・届くようになるの!!」
私「はいはい。期待してるよ」
僕「・・・」
私「怒った??」
僕「怒ってない」
私「本当に??」
僕「・・・」
43 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 00:25:47.63 ID:/5eVDkaD0
私「守りたいって言ってくれるだけでうれしいよ」
僕「・・・僕の腕、長くできない??」
私「そんなことできないよ」
僕「届くようになるかな・・・」
私「それまでは、私が守ってあげよう」ギュ
僕「うん・・・僕頑張るね」
私「うん」
44 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 00:27:32.33 ID:bUGYSEnd0
http://www.youtube.com/watch?v=lXv4PqCbekQ&translated=1
この流れならこの曲かな
47 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 00:33:39.20 ID:/5eVDkaD0
僕「そろそろ夕焼けの時間だね」
私「うん」
僕「今日も西の空はきれいなんだろうね」
私「うん」
僕「今日も見に行こうか」
私「今日はやめとこう」
僕「どうして??」
私「今日は君の話を聞いている方が楽しいから」
僕「そっか」
48 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 00:37:12.65 ID:/5eVDkaD0
私「私も色々話できるといいんだけど、お喋りは苦手なんだよね」
僕「その分僕が喋るから、いいじゃない」
私「うん」
僕「お話を考えるのは結構好きなんだ」
私「君といると退屈しないな」
僕「へへ・・・そう言ってもらえるとうれしいね」
49 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 00:43:05.81 ID:/5eVDkaD0
僕「どんな話が聞きたい??」
私「うんとロマンチックなやつとか聞きたいな」
僕「じゃあ・・・星の話」
私「うんうん」
僕「ある人が空に輝く星を手に入れたくなって、夜空に手を伸ばす」
私「うんうん」
僕「でも、星に手は届かない」
私「うんうん」
僕「屋根に上ったり、網を振り回すけど、星は取れない」
私「うんうん」
50 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 00:49:57.80 ID:/5eVDkaD0
僕「ある人がそれを見て、星がほしいなら譲ってあげましょうか、と囁く」
私「うんうん」
僕「その人は流れ星を拾って、集めている人だったんだ」
私「うんうん」
僕「でも流れ星じゃなくて、空に輝く星が欲しかったから、いらないって言ったんだ」
僕「落ちた流れ星は、もう輝いていなかったから」
私「うんうん」
52 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 00:54:29.42 ID:/5eVDkaD0
僕「君なら、流れ星の落ちたものでもいいって思える??」
僕「それとも、空に輝いてる星に手を伸ばしたい??」
私「うーん、難しいね」
私「でも私なら、空の星も手に入れた瞬間に輝かなくなるんじゃないかって思うな」
僕「うんうん」
私「だから、その人から素直にもらって、大事にするよ」
僕「そっか」
53 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 00:59:09.20 ID:/5eVDkaD0
私「その話はそこで終わり??」
僕「いや、君の言った予想で、終わりだよ」
私「星に手が届くけど、輝かなくなってしまうの??」
僕「そう」
私「それって悲しいね」
僕「うん、悲しいね」
55 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 01:05:00.48 ID:/5eVDkaD0
僕「でも、これが在るべき終わりなんじゃないかな」
私「そっか」
僕「僕なら・・・もしかしたらずっと」
僕「綺麗な星が手に入るまで、空に手を伸ばしてるかもしれないな」
私「・・・うん、それが君らしいかもね」
僕「もしかして馬鹿にしてる??」
私「してないしてない」
僕「2回言うと嘘っぽいよね」
私「本当にしてないよ」
56 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 01:11:35.79 ID:/5eVDkaD0
僕「ねえ、星ってなんで輝くんだろうね」
私「昔は、死んだ人は星になるって迷信があったらしいよ」
僕「じゃあ死んだ人が、ここにいるよって残された人たちに伝えるために輝くのかな」
私「そうかもしれないね」
僕「あ、でもそれ迷信か。本当は違うの??」
私「いや、それが本当。で、いいんじゃないかな」
僕「そっか」
僕「でもさ、君はそういう迷信の類を信じちゃいけない人間なんじゃないの??」
私「いいんだよ」
58 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 01:16:37.55 ID:/5eVDkaD0
私「ちょっと暗くなってきたね」
僕「うん」
私「そろそろ中に入ろうか」
僕「うん」
私「明日も晴れるかな」
僕「晴れるよ、きっと」
私「そうだといいね」
僕「僕にはわかる」
私「そっか。じゃあ信じてみようかな」
59 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 01:22:35.38 ID:/5eVDkaD0
私「てるてる坊主って知ってる??」
僕「てる・・・??なにそれ」
私「次の日がお天気になりますようにって、おまじない」
僕「へえー」
僕「それ、効果あるの??」
私「どうかな。ただの気休めかもね」
僕「気休めかー」
私「気休めを馬鹿にしちゃいけないよ」
60 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 01:26:07.55 ID:/5eVDkaD0
私「ほら、こういうの」
僕「人形みたいだね」
私「で、ここに顔を書くの」
僕「僕が書いてもいい??」
私「いいよ」
僕「えへへ」キュッキュッ
61 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 01:30:17.90 ID:/5eVDkaD0
私「書けたら、窓の近くに吊るしておくんだよ」
僕「あー」
僕「なんか効きそうな気がするね」
私「でしょ」
僕「一個でいいの??」
私「どうしても晴れてほしい日の前の日なんかは、いっぱい吊るすんだけどね」
僕「明日大事な用事、あったっけ」
私「ないない」
僕「じゃあ、一個でいいや」
65 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 01:34:40.40 ID:/5eVDkaD0
私「さ、話の続き、聞かせて」
僕「・・・でも君、毛布にくるまって、もう寝る体勢じゃん」
私「この状態で君の話を聞くの、好きなの知ってるだろ」
僕「珈琲飲みながらね」
私「寝る前の珈琲はまた格別」
僕「珈琲の使い方間違ってない??」
私「私は飲んでから寝るタイプだからね」
僕「・・・」
ありがたい
あと3割くらい 3時には終わりたい
66 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 01:37:43.61 ID:/5eVDkaD0
僕「ある時人類が滅亡して、地球上の人間が二人だけになりました」
私「うんうん」
僕「一人は、世界で一番幸せだった人」
僕「もう一人は、世界で一番不幸だった人」
私「うんうん」
僕「幸せだった人は考えました。今まで周りにいた人たちはみんな居なくなった」
僕「たくさんの財産も、地位も、名誉も、みんななくなった」
私「うんうん」
僕「ああ、自分はいっぺんに何もかも失って、なんて不幸なんだ、と」
私「うんうん」
68 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 01:43:23.07 ID:/5eVDkaD0
僕「一方、不幸だった人は考えました。何にもない、生きる希望もなかった自分が生き延びた」
僕「絶望していたはずの自分が、捨てるはずだった命を拾った」
私「うんうん」
僕「ああ、自分は人類が滅亡しても生き延びているなんて、なんて幸運なんだ、と」
私「うんうん」
僕「そして、地球には同じように、世界一幸せな人と、世界一不幸な人が残りました」
私「うーん、なるほど」
69 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 01:49:45.57 ID:/5eVDkaD0
僕「幸せの定義とかって、結局は自分次第なんだよね」
私「そうだね」
僕「自分が幸せだと感じているなら、他人から見てどうであれ幸せなんだと思うな」
私「うん、確かに」
僕「・・・君は今幸せ??」
私「・・・そうだね・・・幸せ・・・かな」
70 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 01:52:57.14 ID:/5eVDkaD0
僕「どうして??」
私「君がいてくれるから・・・かな。私一人だったら、きっと不幸だったと思う」
私「何より、一人じゃこんな話もできないしね」
僕「なるほど」
私「君は今幸せ??」
僕「僕も幸せだよ」
71 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 01:56:39.70 ID:/5eVDkaD0
私「どうして??」
僕「そりゃ、君がいてくれるからだよ」
僕「外の世界のことは知らなくても、君が教えてくれるし」
私「最近じゃ、君のほうが物知りになってきたね」
僕「君の本読んだりしてるからね」
私「それでか」
僕「ここには本がありすぎるよ」
私「捨てるのはもったいないからね」
僕「何不自由ない、幸せだと思うな」
私「そっか」
73 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 02:01:11.21 ID:/5eVDkaD0
僕「残念なのは、いつか来る君の死を僕は看取らなくちゃならないってことかな」
私「私が死ぬまで、きっと君は死なないだろうからね」
僕「難儀だね」
私「私より先に死にたいの??」
僕「だって、君の死を見るのはいやだから」
私「私だって、君の死を見るのはいやだよ」
74 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 02:05:50.46 ID:/5eVDkaD0
僕「君は人間だから、いつか死ぬ。それは決まっていることだよね」
私「うん」
僕「じゃあ僕は??死ぬの??壊れるの??動かなくなるの??」
僕「僕みたいなロボットでも、終わりは「死」って言うのかな」
私「・・・君はロボットじゃないよ」
僕「じゃあなに??」
私「・・・」
僕「ロボットじゃなかったら・・・僕はなんなの??」
76 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 02:11:04.81 ID:/5eVDkaD0
私「私の、娘だよ」
僕「娘・・・」
私「私の娘だから、いつか私と同じように、死ぬんじゃないかな」
僕「娘、なんて初めて言ってくれたね」
私「言ったことは、なかったっけ」
僕「うん」
私「その「僕」っていう一人称をやめてくれたら、もっと娘らしく扱えるんだけどね」
僕「僕は僕だよ、生まれたときからそうだろ??」
77 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 02:16:38.06 ID:/5eVDkaD0
私「言語プログラムに、変なものが混じってたんだよ、きっと」
僕「ひどいなそれ。僕不良品だっていうの??」
私「違うよ。大切な、娘だよ」
僕「でもさ、僕は君をお父さんというよりも、恋人のように思ってたな」
私「恋人、ね。いったいどんな本を読んだんだい」
僕「なんか、最近の新しい小説とかかな」
私「そっか。私はそういうの疎いから、よくわからないな」
78 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 02:21:18.98 ID:/5eVDkaD0
僕「君こそ、その偉そぶった「私」っていうの、やめたら??」
私「どうして」
僕「なんか距離を感じるな。余所余所しくて、さ」
私「そうかな。でもこれは昔からの癖だから」
僕「そっか」
私「で、君を作ったのは私だけど、それでも恋人同士になれるものなのかな??」
僕「いいんじゃない??ここには、二人しかいないんだし」
僕「僕らの関係は、僕らで決めたら」
私「まあ、そうだね」
79 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 02:29:15.13 ID:/5eVDkaD0
僕「君はこの島を出るつもりはないの??」
私「どうして??」
僕「僕はここで暮らすことに不自由はないけど、君は不自由じゃないの??」
私「そんなことはないよ」
僕「本当に??」
私「本当だよ」
僕「どこにも行かない??」
私「どこにも行かない」
80 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 02:34:30.34 ID:/5eVDkaD0
僕「眠い??」
私「そうだね、そろそろ寝ようか」
僕「ねえ、どこにも行かない??」
私「行かないったら」
僕「起きたら、そばにいるよね」
私「君寝ないじゃないか」
僕「あ、そうか」
82 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 02:39:46.80 ID:/5eVDkaD0
私「明日は、何しようかな」
僕「ねえ、その前にさ」
私「ん??」
僕「僕も、一度で良いから君と一緒に寝てみたかったんだけど」
私「うんうん」
僕「無理かな??」
私「やってみようか」
僕「うん」
84 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 02:44:33.78 ID:/5eVDkaD0
私「こっちおいで」
僕「うん」
私「そうそう。で、目をつぶってみて」
僕「うん」
私「そのまま、朝までずっと、そのまま」
僕「うん」
85 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 02:48:41.28 ID:/5eVDkaD0
僕「こうしていたら、寝れるの??」
私「どうかな。でも、寝ている気分にはなれるかもね」
僕「そっか」
私「話しながら、寝ようか」
僕「うん」
私「ほら、じゃあさっきの続きでも、違う話でも」
僕「うーんとね」
★おしまい★
87 : HAM ◆HAM/FeZ/c2 2009/05/31(日) 02:52:46.81 ID:/5eVDkaD0
最後にスペック
私
小さな無人島でロボットを作り研究している
研究を終え、今はそのロボットとのんびり暮らすことに満足している
性別は男、年齢不詳
僕
「私」に作られたロボット
ある程度高性能で、痛覚もあるし、食事もする
性別は女、年齢は1歳、見た目は10代
あまり知識はない
長々とありがとうございました
>>83 こないだ途中で落ちましたorz
88 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 02:58:31.24 ID:XthqDCbT0
乙
89 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 02:58:42.25 ID:9hJ3z8gAO
すごいすきだ
90 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 03:00:18.22 ID:P41bI3bnO
おつ
ありがとう、癒された
91 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 03:01:30.52 ID:oof0P7fUO
乙
すきだ
いつも読めるようにしたいくらいだ
94 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 03:32:55.28 ID:bUGYSEnd0
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1627649
http://www.nicovideo.jp/watch/sm950404
http://www.nicovideo.jp/watch/sm339253
http://www.youtube.com/watch?v=E4FbLpOsWKY
ニコ動がけっこう揃ってるんだよね
96 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/31(日) 04:04:02.68 ID:xc5GUf6IO
俺の車の音楽GOINGしか入ってないわ
元スレ:http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1243692362/
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