PickUp
スポンサード リンク
1 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 00:53:14.78 ID:3ZjOfNqy0

閉ざされた資料室に光が入り込む


今宵も来たか……


ゆったりとした足つきでこちらに向かってくる影が一つ


その影は、『提督』と呼ばれているここの最高責任者のものだ


提督は私の傍に立ち止まり、こう言う


「今日は何回目で死ぬのかな?」


2 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 00:54:45.18 ID:3ZjOfNqy0

私がこの鎮守府に来たのは,ここが稼働してすぐだった


いや、正確には最初からここにいた


だが私自身自分が何者なのかがわかっていない


一つだけわかるのは、私は戦うために、死ぬために生まれてきたということだ


別に誇りを持っているわけでもない


ただそういうものなんだろうなと本能的に理解していた

3 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 00:55:39.10 ID:3ZjOfNqy0

私は自分自身ではほとんど動けない


人に助けてもらって初めて動くことが出来る


普段はうねうねと這いずりまわることしかできない


大して面白いこともない存在なのだ


それでも物好きなこの提督は一日一回必ず私のもとへ来る

4 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 00:56:27.61 ID:3ZjOfNqy0

何をしに来ているか?


別に私を気遣ってとか、そんな理由


では決してない


提督は


私のことを


殺しに来ているのだ

5 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 00:58:11.17 ID:3ZjOfNqy0

既に何回死んだかもわからない


何故か記憶は引き継がれるようで、これまであったことは大体覚えている


いや、記憶だけあって、殺された者と私は別の存在なのかもしれない


私には同じ姿をした代わりがいくらでもいる


だから私が死んだとしても誰も気にはしない


数日、数分……いや、一瞬でその場に同じ姿の者が這い出てくるのだから

6 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 00:59:27.74 ID:3ZjOfNqy0

提督が私を殺すことに理由なんてないのだろう


いつも感情のない瞳で私を吹き飛ばし、絶命させる


もしかしたら遊びなのかもしれない


私達は提督に逆らうような真似は決してしない


どんな命令であれ忠実に実行する


だから

7 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 01:00:53.43 ID:3ZjOfNqy0

そんな私にもただ一人の友人がいる


妖精だ


彼?彼女?はこの資料室の管理人だ


常にここにいる関係上、気さくに話し合いもできる


今日はどんなことをしたか、鎮守府での活動はどうであったか


そんな他愛もない話をして盛り上がる

8 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 01:05:33.40 ID:3ZjOfNqy0

そしてこの妖精が今の私の殺され続ける状態を作り出したと言っていい


私の本当の初めの頃


つまり初めて生を受け、死ぬことを経験したことのない頃の私は何もしない存在だった


動きもせず、ただただ時間が過ぎるのを待つだけ


周りなど関係ない


私にとってこの資料室が世界のすべてだった


思考能力すらほぼ不必要としていたためそのことに疑問も持たなかった

9 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 01:08:11.20 ID:3ZjOfNqy0

そんな私に妖精は干渉してきた


持ち前の知識を振るい、私に世界とは何かを教えてくれた


この資料室から私を引っ張って外に連れ出してくれたこともある


そこで様々な艦娘達やその装備に憑く妖精を見た


圧倒された


世界はこんなにも広いのかと

10 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 01:10:59.05 ID:3ZjOfNqy0

そこで私は胸の奥から欲求が湧き出てきたのだ


見渡したい


この世界を


自分自身で


強く願った


同じ場所にとどまり続ける私には、決して届かないと分かっていながらも

11 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 01:18:29.55 ID:3ZjOfNqy0

当時すでに提督は私のことを殺しに来ていた


抵抗もせずに簡単に死んでいたころの私は淡々としていただろう


脆すぎる私の身体は少しの衝撃で霧散してしまう


霧散した体は妖精の力で再構築される


そして記憶とを引き継いだ新しい私が生まれる


新しい私は前までの記憶以外他人事のような感覚になる

12 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 01:20:18.74 ID:3ZjOfNqy0

だが私はあの日以降抗った


出来る限りの努力をした


妖精と話し合った


いつか世界を見渡してみせると心に誓って


そしてその方法を編み出した


この方法は提督が私を殺す方法を逆手に取ったものだった

13 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 01:21:16.81 ID:3ZjOfNqy0

「じゃあ、今日も派手に逝ってくれよ」


提督が私に近づく


今日も私は殺される


だがただでは死なない


花火のように、最後に花を咲かせるのだ

14 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 01:22:37.29 ID:3ZjOfNqy0

一突き


私の身体が強い刺激に大きく跳ねる


まだだ……まだ足りない


「まずは一回目……まぁここで逝かれたらつまらんからな」


提督が嗤う


痛みを逃がすために体をよじる


私を殺すのには、指一本あれば十分だ

15 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 01:23:39.63 ID:3ZjOfNqy0

二突き


再び跳ねる


これでも足りない


私自身の耐久値は生まれた個体ごとに異なる


どうやら私は少しは頑丈らしい


中には一突きで絶命してしまう時もあったようだ

16 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 01:24:36.15 ID:3ZjOfNqy0

三突き


頭がおかしくなりそうな痛み


だがこの痛みがなければ華を咲かせるなど不可能だ


「ほぉ、三回目で死なないか。昨日の記録更新だな」


昨日の私は三回目で死んだ


そして私は自分の限界を感じていた


恐らく次で……

17 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 01:27:20.89 ID:3ZjOfNqy0

四突き


来たッ!!


今までの痛みを全て反動に変え、天高く跳躍する


私達が編み出したのは、痛みを一気に放出し特大の跳躍をすることだった


自分の限界やタイミングを考えねば失敗する、博打のようなものだが


鎮守府の天蓋を突き抜け、更にその上へと


体が気圧の違いに軋む


そんな高度に達した時、周りを見てみる

18 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 01:28:28.58 ID:3ZjOfNqy0

美しい海


荘厳な山々


陸地の奥には人々が暮らす街


どこまでも広がる空


私は世界を見渡すことが出来たのだ


同時に体が限界を迎えた

19 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 01:29:51.67 ID:3ZjOfNqy0

バラバラに引き千切れていく


元から小さすぎる体だ


地上にはカスも残らないだろう


薄れていく意識の中、私は思った


確かに世界をある程度は見渡せた


だがしかし、


こんなんじゃ、満足、出来ない


その強い想いを抱き、私は……


20 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 01:33:38.81 ID:3ZjOfNqy0

提督「あー今日は四回だけかぁ」


妖精「最高記録には届きませんでしたね」


提督「まぁ暇つぶしだし、オカルトみたいなもんだ」


妖精「オカルトとは?」


提督「一定回数まで奴が我慢出来たら運がいいとかな」


妖精「へぇ……」


提督「生憎、二桁すら届いたことがないがな。はぁ……また明日楽しむか。アレがジャンプするようになってから面白いと思えてきたからな」


妖精「ではすぐに再生しておきますので」


提督「任せた。それじゃあな」


妖精「はい」

21 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 01:36:32.43 ID:3ZjOfNqy0

妖精「…………」


妖精「……私はあなたが満足するその日まで付き合い続ける」


妖精「この部屋の、たった一人の友人として」


妖精「それに、あなたが頭にいないと違和感を感じてしまうんですよね」


妖精「だから、また、蘇らせてあげるね」

22 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 01:37:36.90 ID:3ZjOfNqy0

私の名は……図鑑虫、とでも名乗るか


資料室に住む一匹の生物だ


昨日の私は四回で死んだらしい


ならば私はその上を行き、今度こそ満足できる高度まで達してみせる


私を頭に載せる妖精も応援してくれる


私達の満足は、これからだ

23 : ◆o8Jn.8ZlOFsY[saga] 2015/05/02 01:38:45.39 ID:3ZjOfNqy0

終わり
私アレ43回が最高なんだけど一体何回までいけるんですかね
てかあの虫一体何なんですかね


元スレ:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1430495584/
関連記事
Relate Entry
スポンサード リンク
zenback
Comment
Comment form
検索フォーム
プロフィール

SSですの。

Author:SSですの。
SSまとめサイトですの。
相互リンクと相互RSS絶賛募集中ですの。

2ちゃんねるのVIP、SS速報VIP、SS深夜VIP、おーぷん2ちゃんねるで書かれた、管理人が面白いと思った、注目されたSSスレを紹介するブログです。拙いところも多々あると思いますが、よろしくお願いします。

リンク、RSS登録は、ご自由になさって頂いて構いません。
相互リンク及び相互RSS募集中です。メールフォームよりご連絡お願いします。

当ブログに掲載している内容に問題がありましたらメールフォームよりご連絡下さい、

スポンサード リンク
スポンサード リンク
最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
アクセスカウンター
逆アクセスランキング
リンク
RSSリンクの表示
おすすめリンク
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
小説・文学
294位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
16位
アクセスランキングを見る>>
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

QRコード
QR

PAGE TOP