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1 : ◆3LsjyiVMzQ [] 2009/09/06(日) 23:51:34.86 ID:QTek4QtX0

信号機「……」

俺「いや、だってここ田舎だし車なんか通らないだろ?」


3 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/06(日) 23:52:37.53 ID:QTek4QtX0

信号機「……え?」

俺「?」

信号機「わ……わたしの言葉、わかるんですか?」

俺「わかるも何もさっきからずっと鼻歌歌ってたろ」

信号機「う、歌ってなんかうませんよ」

俺「いや聞こえたね。こ~うつ~う~るぅるぅ~うぉ~♪ って」

信号機「キャー!ダメダメダメです! は、恥ずかしいですぅ……」

俺「顔真っ赤だな」


6 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/06(日) 23:54:15.22 ID:QTek4QtX0

信号機「まぁ……、わたしこれでも立派な赤信号ですから」

俺「そうなのか」

信号機「ちなみに長女です、エヘン」

俺「そこは威張るとこなのか?」

信号機「う。ど……、どうだっていいじゃないですか」

俺「ふ~ん」

信号機「と、とにかく! 交通ルールは守らなきゃダメです! 俺さんは特に守らなきゃダメです!」

俺「いいじゃんさ、田舎なんだから。しかも夜だし人なんか居ないし」

信号機「だーめーでーす! お代官様の目は誤魔化せても赤信号のわたしの目は誤魔化せませんよ」

俺「お前何時代の信号機だよ」

信号機「えへへ、時代劇の台詞って一度いってみたかったんですよね」


7 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/06(日) 23:55:34.51 ID:QTek4QtX0

俺「っていうか、人影さえ見えないんけど、渡ってもいいよな?」

信号機「夜間はスピード違反も多いですし、信号無視の車なんてとくに多いんですよ。それに意外と郊外の交通事故って多いんですから」

俺「わかった、わかったよ。俺の負けだ、大人しく待ってるよ」

信号機「そうです、ちゃんとわたしの前で停まっていれば安心ですからね」ニコ

俺「……」

信号機「あの」

俺「……うん?」

信号機「わ、わたしの顔にな、なにか付いてますか?」

俺「あー、いや。その、なんだ。なんでもないんだ。気にしないでくれ」


8 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/06(日) 23:57:04.68 ID:QTek4QtX0

信号機「それにしても初めてですよ」

俺「ん?」

信号機「こうやって人間とお話するのは」

俺「そうなのか? わりと普通だと思うけどな」

信号機「ぜったい普通じゃないです! 傍から見てたらただの怪しい人です! 変態野郎の変質者です!」

俺「わ、わかった、わかったから落ち着けよ。顔真っ赤だぞ」

信号機「それは元からです!」


10 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/06(日) 23:58:11.11 ID:QTek4QtX0

俺「落ち着いたか?」

信号機「……はい」

俺「お前、情緒不安定なのな」

信号機「だって人間と何話していいかわからなくて……緊張で頭が混乱していますぅ」

俺「普通それ俺の台詞じゃないか? っていうか緊張してたのか」

信号機「は、はぅう。なぜそれを」

俺「だめだこりゃ……」


11 : ◆3LsjyiVMzQ [] 2009/09/07(月) 00:00:06.94 ID:mQhyL02B0

信号機「い、いきなり話しかけてくるから、わたしびっくりしました」

俺「そうかい」

信号機「こんなこと、今までなかったです」

俺「そりゃな、信号機に話しかけてる人間なんて人の目から見たら変質者以外の何者でもないしな」

信号機「そ、そんな事ないです! わたし、びっくりしたけど、でも嬉しくて……」

俺「俺だってびっくりさ、信号機が鼻歌歌ってるんだもんな」

信号機「う、歌ってないですよ」

俺「そうなのか?」ジー

信号機「う……」

俺「う?」

信号機「うう、うた、歌ってました」

俺「そうなのか」


12 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:01:07.10 ID:mQhyL02B0

信号機「うぅ、いじわるです。泣いちゃいます……」

俺「すまん、いじめる気はなかったんだが」

信号機「立ち直れないです……お嫁にいけない……」

俺「飴やるから許してくれ」

信号機「わ~い♪ 飴さんだ~♪」

俺「いいのかそれで」

信号機「か、かえしませんよ?!」

俺「ああ、別にとらねぇよ」

信号機「美味しいです~♪ あ~め~ちゃ~ん、おいしいなぁ~♪」

俺「そりゃよかった」

信号機「この甘く蕩ける芳香な香り……たまりません」

俺「そうかい」


13 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:02:22.30 ID:mQhyL02B0

信号機「でも、なんででしょうね」

俺「うん?」

信号機「言葉が通じ合うのって」

俺「さあな、世の中には色々な人間が居るってだけじゃないか? 信号機と話せる奴が一人くらい居てもおかしくはないだろ」

信号機「ふふ、そうですね。あの……お名前は何て言うんですか?」

俺「俺だ」

信号機「俺さんですね」

俺「お前は?」

信号機「わたしですか? 俺さん、わたしは信号機ですよ? 名前なんて……、ありません」


14 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:03:33.61 ID:mQhyL02B0

俺「じゃあつけてやる」

信号機「え? い、いいですよ」

俺「お前は赤だ。赤いからな」

赤「赤……ですか」

俺「嫌か?」

赤「……」



赤「う、うれしい……です」


15 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:05:23.90 ID:mQhyL02B0

俺「ところで赤」

赤「はい?」

俺「俺はいつまでこうしてりゃいい?」

赤「いつま……ってあああああ、ごめんなさ~い!」

パッ

俺「じゃあまたな、赤」



青「……」


16 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:06:26.76 ID:mQhyL02B0

◇ ◇
翌朝。


赤「あ~あ~、こ~うつ~う~るぅるぅ~うぉ~守りましょう~♪」

俺「……」

赤「こぅつぅ~るぅるぅ~♪」

俺「……」

赤「まもるぅ~♪ わたしは~しんごっうっっきぃ~♪ もんき~♪」

俺「……」


18 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:07:32.34 ID:mQhyL02B0

俺「おはよう、赤」

赤「う、うわ! びっくりした! 居るなら居るって言ってくださいよ俺さん」

俺「いや気づけよ、結構前から居たぞ」

赤「と、灯台下暗しなんです!」

俺「灯台って、お前信号機だろうが……」

赤「似たようなもんです」

俺「つまり足元はがら空き、と」

赤「……」

俺「……?」

赤「今エッチな事考えませんでしたか?」

俺「……赤なのに白ってか?」

赤「もー!」


20 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:10:40.02 ID:mQhyL02B0

俺「ごめん、ごめんって」

赤「やっぱり俺さんは変態野郎の変質者です、最低のパンツ覗き魔です!」

俺「覗き魔って、あれパンツだったんだ……」

赤「も~! いくら俺さんでも許さないです! プンプン!」

俺「ほら、飴やるから許してくれ」

赤「わ~い♪」

俺「いいのかよ!」


21 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:11:33.44 ID:mQhyL02B0

俺「に、しても。今日も通らないな、車も人も」

赤「そうですねえ」

俺「むしろ信号機なくてもいいんじゃないかとさえ思えるよ」

赤「うぅ……言わないでください俺さん……わたしがドジなばっかりにこんな田舎のさらに外れのところしか就職できなくて……」

俺「信号機も色々と大変なんだな」

赤「うぅ……そうなんですよ~」

俺「まぁ人間も信号機も同じようなもんなのかもな」

赤「わたしは信号機の方がいいですけどね、人間なんて……」

俺「人間がどうかしたか?」

赤「あ、な。なんでもないです」


22 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:12:31.70 ID:mQhyL02B0

俺「そうか、人間が嫌いとか?」

赤「そういうわけじゃ……」

俺「ふ~ん」

赤「で、でも。俺さんは……良い人、です」

俺「そうか?」

赤「そうです!」

俺「ふ~ん、じゃあ通してくれ」



赤「信号無視はダメです! 交通ルールは守ってくださいっ」



25 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:16:18.92 ID:mQhyL02B0

>>23
ちょっと加筆してますが今回はもうばっちり最後まで書いてるんで、明日仕事だけど最後まで投下します。
みなさん、よろしくお付き合いください。
-----------------


赤「今日もばっちり街の安全を守っていきますよ~!」

俺「おう、頼もしいな」

赤「えへへ、なんか最近のわたし、がんばってるんです」

俺「ん、なんかあるのか?」

赤「な、ななななんでもないです! ただ、がんばろうかなって思ってるだけで」(俺さんが来てくれたから嬉しいとかそんなんじゃないんですけども……ゴニョゴニョ)

俺「そうか?」

赤「そ、そそそうです!」

俺「まぁ、頑張ることはいいことだな、しっかりな」

赤「はい!」


24 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:13:43.93 ID:mQhyL02B0

◇ ◇
翌朝。

赤「~♪」

俺「あいつ、今日も歌ってるな」

赤「~♪」

俺「何歌ってるんだ?」スタスタ

赤「あ~♪ 俺さんは~♪ 変態野郎で~♪ 痴漢野郎~♪ お、ん、な、の、てき~♪」

俺「泣いていいかな、俺」

赤「あ、俺さん。おはようございます」ニコ

俺「おはよう」シクシク

赤「ど、どうしたんですか? 何か悲しい事でもあったんですか?」

俺「いや、なんでもないんだ、なんでもないんだけどさ」

赤「けど?」

俺「いや、なんでもない……」


27 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:17:55.84 ID:mQhyL02B0

赤「あ、あの。俺さん」

俺「うん?」

赤「今日の夜7時、ここに来てくれませんか?」

俺「今日? 急な話だな」

赤「だ、だだめですか?」

俺「う~ん、いいよ」

赤「ホントですか?! やったあ!」

俺「なんかあるのか?」

赤「うふふ、ナイショです」

俺「ほぅ」

赤「来てからのお楽しみ、ですよ~」

俺「そりゃあ楽しみだな、ここんとこする事もなくて退屈な毎日だったからな」

赤「それじゃあ、絶対来てくださいね!」

俺「あぁ、わかったよ」


28 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:19:21.24 ID:mQhyL02B0

◇ ◇
午後。


友「なあ俺。どうだ、元気か~?」

俺「ん、お前がそんな事聞いてくるなんて不思議な事もあったもんだな。見てのとおり元気だぞ?」

友「へへっ、そうかい元気かい、よりゃよかった」

俺「なんだよ、ちょっとテンションおかしいぞ。なんかいい話でもあるのか?」

友「実はよ、俺彼女ができちまってよ」

俺「え? マジで?」

友「マジマジ、で今日初デートするんだよ」

俺「どこ行くんだよ、教えろよ」

友「場所はナイショだけどな」

俺「んだよそれ、自慢かよ」

友「へへっ、自慢しちまった」

俺「自慢されちまったよチクショウ」


30 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:20:15.10 ID:mQhyL02B0

友「まぁお前ももうちょっと身長が高ければモテたかもな」

俺「ほっとけ余計なお世話だ」

友「余計なお世話は承知の助だぜ」

俺「ったくよー、お前ってやつはよー」

友「へへっ、一番に報告してやったんだから許せ」

俺「わかったわかった」

友「おっと、もうこんな時間だ。デートに遅れちまう」

俺「しっし、さっさと行っちまえリア充が」

友「言われなくても行くって、じゃあな」

俺「おう、またな」

友「またくるよ」

俺「ん? そうか、それじゃ今度は晩飯でも作って待ってるぜ」

友「じゃあな俺」

俺「おうよ」


33 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:22:10.48 ID:mQhyL02B0

◇ ◇
夜。


俺「ったくよ~、友の奴も来るなら来るって言ってからこいよな」

俺「部屋の片付けとか色々しなきゃいけねーんだからよ、エロゲとか同人誌とかフィギアとか……」

俺「いちおうオタってのはナイショなんだからさ」

俺「って。やっべー、このままじゃ遅れちまう。走れ、走るんだ俺」


タッタッタッタ


赤「おっそいです!」


34 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:23:24.34 ID:mQhyL02B0

俺「ハァ……ハァ……、じ、時間ぴったりだろ?」

赤「もう、俺さん! こういうのは集合時間の30分前に来てなきゃいけないんですよ!」

俺「そ、そうなのか……ゼェ……ハァ……ちょ、ちょっと休ませてくれ」

赤「も~、仕方ないですね。わ、わたしに寄り掛かってもいいですよ」

俺「ああ……、そうさせてくれ……」

赤「……」

俺「……」

赤「は、はしってきてくれて、嬉しかったです」

俺「うん?」

赤「俺さん、てっきり約束を忘れてるんじゃないかとか、ひょっとしてわたしの事嫌いなんじゃないかとか、色々考えちゃいました」

俺「……」

赤「俺さんが来てくれなかったら、わたし、どうしよう……って、そんな事ばかり……う、うぅぅ」ポロポロ

俺「……すまん……」

赤「ふえぇぇぇええええ~ん。だ、だから、俺さんが見えたとき、とても、とっても、」

俺「赤……」


35 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:24:20.18 ID:mQhyL02B0

ヒュウゥゥゥゥゥ~

ドン


ドドン、ドォン!



俺「花火……か」

赤「わぁ……。と、とっても綺麗です」

俺「ひょっとしてこのために?」

赤「は、はい」


37 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:25:47.46 ID:mQhyL02B0

俺「……」

赤「……」

俺「……」

赤「……」


俺「な、なあ赤」

赤「お、俺さん」


俺「っ!」

赤「!」


俺「あ、う、ごめん」

赤「い、いいえ。わたしこそ」


38 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:26:48.74 ID:mQhyL02B0

俺「……」

赤「……」


俺「ぷ」

赤「うふふ」


俺「はは」

赤「あはは」


俺「はーっはっは」

赤「あーっはっはっは」


俺「綺麗だな、花火」

赤「ええ、そうですね」


40 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:27:35.74 ID:mQhyL02B0

俺「いいもんだな。見晴らしもよくて、他に人もいなくて」

赤「ええ、そうですね」


俺「夜空に咲く花ってか、赤、青、黄色に緑、あ~、綺麗だな」

赤「ええ、そうですね」


俺「でも、あの花火のヒカリは世界で二番目だな」

赤「え?」


俺「一番のヒカリは赤、お前だ」

赤「お、俺さん……」


俺「はは」

赤「そんな事言われたら、ますます好きになっちゃいます……」


41 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:28:30.22 ID:mQhyL02B0

俺「なあ赤」

赤「はい」


俺「俺、お前の事が──」

赤「俺さん……」


ヒュウゥゥゥゥゥ~

ドン


ドドン、ドォン!






42 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:29:42.90 ID:mQhyL02B0

◇ ◇
翌日。


俺「おっす」

青「ん? あんた俺さんかい?」

俺「そうだけど」

青「あたしは青、よろしくね」

俺「ああ」

青「赤から聞いてるよ、仲良くしてくれてるみたいじゃない」

俺「まあね」

青「あたしももうちょっと若ければあんたくらいの男を喰って歩くんだけどね」

俺「信号機が歩き回ったら大変だ」


44 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:31:52.31 ID:mQhyL02B0

青「あはは、面白いねあんた」

俺「つーか、ここの信号機って青の時もあるんだな」

青「当たり前さね、信号機なんだから」

俺「……ここの信号はお喋りばかりだな」

青「そう思うかい?」

俺「ああ、こんな田舎に信号があるだけでも驚きだが」

青「あはは、にしてもあんたも律儀だねえ。ちゃーんと毎日信号守ってるの偉いさね。最近のヤツはすぐに飛び出すもんだから事故が後をたたないよ」


45 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:33:34.14 ID:mQhyL02B0

俺「事故って、こんな場所でもか?」

青「事故は時と場所を選ばないのさ」

俺「ふ~ん」

青「にしても本当に会話ができるんだねぇ、あんた。世の中不思議な事もあったもんだねえ」

俺「だからそれは俺の台詞だって」

青「あはは。細かい事気にしなさんな」


46 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:34:44.76 ID:mQhyL02B0

青「ところであんた、学校の帰りか何かかい?」

俺「まあそんなところだな」

青「そうかいそうかい」

俺「?」

青「ほら、さっさと渡りな。赤に変わっちまうよ、それともそっちの方がお好みかい?」

俺「な、」

青「あの娘はああ見えて12歳まであたしと一緒に風呂に入ってたんだよ、あたしから言わせればまだまだハナタレ小娘だよ」


48 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:35:52.46 ID:mQhyL02B0

赤「ちょっと! お兄ちゃん! 何を俺さんに吹き込んでるのよ!」

青「てめぇこの野郎! 俺を呼ぶときはお姉さまって言えって言ってんだろうが小娘!」

赤「いーやーだ!」

青「あんだと?!」

赤「なによー!」

青「ビキビキ」



俺「……見てはいけないものを見た気がする……」


51 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:37:14.87 ID:mQhyL02B0

赤「あ、あのね。俺さん、お兄ちゃんはちょっと変わった人でね……」

俺「いや。い、良いお義兄さんだったぞ」

赤「そ、そう?」

俺「あ、ああ。まぁ性別なんて、カンケーねぇよ、な?」

赤「よ、よかったぁ……」

俺「うん?」

赤「俺さんがお兄ちゃんの事嫌いになるんじゃないかなって思ってたから……」

俺「そ、そんな事ない。うん、そんな事ないぞ」

赤「えへへ、よかったあ」


53 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:38:26.68 ID:mQhyL02B0

俺「と、すると」

赤「?」

俺「やっぱり黄色も居るのか?」

赤「はい、居ますよ」ニコ

赤「ちょっと待っててくださいね。 おーい、キィちゃーん!」

俺「ん?」

赤「ん~? おかしいなぁ、まだ寝てるのかな」

俺「寝てるって。もう昼過ぎだぞ」


54 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:39:10.01 ID:mQhyL02B0

赤「キィちゃんはね、毎日18時間くらい寝てるんですよ」

俺「じゅ、じゅうはちってナマケモノかよ。ってかいいのかそんなんで」

赤「ほら、キィちゃんって一番仕事の時間が短いから」

俺「……そんなんでいいのか日本の信号機」

キィ「……ねーちゃん」

赤「あ、キィちゃんおはよー」

キィ「……おはよー」

赤「キィちゃん寝癖ついてるよ? ほら。もう、だらしないなあ」

キィ「……ねーちゃん、ふくー」

赤「ほら、今持っていくから待ってて」


57 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:40:07.86 ID:mQhyL02B0

赤「はい、両手あげてー」


テキパキテキパキ


キィ「わあ、ありがとー」

赤「うん、これでよし」

キィ「じゃあ寝るねー」

赤「うん、おやすみー」



俺「……、黄信号の時間が短い理由がわかった……」


58 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:41:07.75 ID:mQhyL02B0

赤「ところで俺さん」

俺「あん?」

赤「そのお花はなんですか?」

俺「……ん、……? あ、あぁ。お前にあげようと思ってな」

赤「へー、やったぁ。ありがとう俺さん!」

俺「喜んでくれてうれしいよ」

赤「きっと大切にします」

俺「ああ」

赤「お~は~な~さんっ♪ きれいなはなを~咲かせましょう~♪」


59 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:42:11.24 ID:mQhyL02B0

俺「ちゃんと枯らさないようにしないとな」

赤「はい! えへへ、嬉しいなあ」

俺「そんなに嬉しいか?」

赤「うふふ、これが二回目のプレゼントです」

俺「そっか、そりゃよかった。……二回目?」

赤「はい!」

俺「……?」


62 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:45:15.35 ID:mQhyL02B0

赤「あ、あの」

俺「ん」

赤「名前……、ありがとうです」

俺「名前?」

赤「俺さんがわたしにくれた、さ、最初のプレゼントです……」

俺「……赤……」

赤「俺さん……」


63 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:46:21.48 ID:mQhyL02B0

◇ ◇
翌日


赤「はい、すとっぷすとっぷ~。赤信号ですよ~」

俺「やあ、今日も元気だな」

赤「うふふ、今日はわたしがんばってます」

俺「ん、どうしてだ?」

赤「ほら、あのお花」

俺「花?」

赤「俺さんがくれたお花、とっても綺麗でしょ?」

俺「……あ、あぁ。そうだったな」


64 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:47:41.83 ID:mQhyL02B0

赤「綺麗な花をみると今日も一日ガンバロー! って思えるんですよ」

俺「そうかい」

赤「だから、ありがとうございます」

俺「はは、信号機に感謝されるとはな」

赤「うふふ、ましてや恋人同士ですよ?」

俺「そうだな」

赤「えへへ、幸せだなあ」


66 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:50:07.51 ID:mQhyL02B0

ちょっと投下ペース落としたほうがいいですか?
さるさんくらいそうでちと怖い。
--------

俺「今日も車こないな」

赤「そうですねー」

俺「……」

赤「……」

俺「……」

赤「あー、俺さんまたエッチな事考えてるでしょ?」


68 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:52:19.14 ID:mQhyL02B0

俺「いや、考え事を……」

赤「?」

俺「いや、なんでもないんだ」

赤「そうですかー? なんか俺さん怖い顔してましたよー?」

俺「そうか?」

赤「眉間にシワこーんなに寄せちゃって、ジローラモみたいでしたよ」

俺「そんなに色黒じゃないだろ」

赤「ふふ」


69 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:53:31.86 ID:mQhyL02B0

赤「ちなみに」

俺「ん?」

赤「今日は……しましまですよ……」

俺「んなー!」


71 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:55:20.81 ID:mQhyL02B0

青「青だよー、さっさと引っ込みな」

赤「あ、ちょ……」

青「なんだい、またあんたかい」

俺「どうも」

青「あんたも物好きだねえ」

俺「物好き?」


72 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:56:19.54 ID:mQhyL02B0

青「いや、何でもないさね。赤がそんなに好きなのかって話だよ」

俺「ああ」

青「……え、まじ?」

俺「ああ」

青「ぽぁー」


76 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 00:59:08.80 ID:mQhyL02B0

青「あ、あんたね。赤は仮にも信号機で、それにあんたは……」

俺「……」

青「……」

俺「……」

青「本気、なんだね?」


77 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:00:54.25 ID:mQhyL02B0

俺「信号機なのに男でゲイってのも居るくらいだ」

青「……」

俺「まあ、なんとかなるだろう」

青「……」

俺「なんとか、する」

青「ふ、負けたよ。あんたには」

俺「青……」

青「く~、どうして良い男はみんなノンケなのかねぇ」


79 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:04:00.11 ID:mQhyL02B0

俺「俺が知るか」

青「いいのかい?」

俺「いまさらだろ」

青「そうだね……もう、あんたも解放されるべきなんだわ」


81 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:06:08.12 ID:mQhyL02B0

俺「……解放? それはどういう……」


キィ「ふあー、黄色だよー」

俺「……」

キィ「ふあー、黄色だったよー」


赤「あれ、俺さんまだいらっしゃったんですか?」


82 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:07:14.71 ID:mQhyL02B0

俺「なあ、赤」

赤「はい? なんでしょう俺さん」


俺「……俺はいつからここにいる?」




85 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:09:02.03 ID:mQhyL02B0

赤「……、いつから……? さっきからじゃないですか?」

俺「……そうか?」

赤「? はい」 ニコ

俺「そうか」

赤「はい。あ、あの……」

俺「ん?」

赤「そ、そんなに見つめられると照れちゃいます……」

俺「ん、あぁ。すまんな、顔が真っ赤だぞ?」

赤「だからそれは元々なんです!」


86 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:10:42.21 ID:mQhyL02B0

俺「そうか、そうだったな」

赤「もう、からかっちゃヤです。俺さん」

俺「すまん」

赤「……」

俺「……」

赤「あ、あの~、俺さん?」

俺「どうした?」

赤「どうして泣いてるんですか?」


88 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:13:34.08 ID:mQhyL02B0

俺「泣いてる?」ポロ

赤「はい」

俺「泣いてるのか」ポロポロ

赤「……はい」



90 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:17:00.82 ID:mQhyL02B0

俺「そうか」ポロポロ

赤「わかりませんが、私の胸でよかったら貸しますよ?」

俺「ありが……とう」

赤「……うん」 ナデナデ




俺「……小さい胸だな」

赤「もー!」


94 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:20:53.31 ID:mQhyL02B0

『死なないで! キィちゃん! おにいちゃん!』


『みんな、みんなー!』


『赤い……赤いよ……』


『うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ』



96 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:22:01.73 ID:mQhyL02B0

◇ ◇
翌朝。


青「やあ、またあんたかい」

俺「よお」

青「朝っぱらからひどい顔してるじゃないか」

俺「そうか?」


98 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:22:49.97 ID:mQhyL02B0

青「まるで死人だよ」

俺「ははっ、まさか」

青「そう。まるで、本当に死んでいるみたい」

俺「冗談キツイぜ」

青「まあ、あんたは殺しても死なないでしょうけど」

俺「人をゾンビみたいに」

青「あはは、なんちゃってね」


99 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:23:48.03 ID:mQhyL02B0

俺「……なぁ」

青「なんだい?」

俺「あの花ってさ」

青「菊の花だね」

俺「俺の記憶が正しければ、それは悲しいことが起こったときに添える花だよな」

青「そうだね」


100 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:24:58.09 ID:mQhyL02B0

俺「なんで俺はあんな花を持っていたんだ?」

青「あたしが知るわけないさね」

俺「……それもそうだな」

青「ちょっと疲れてるんだよあんた、今日はもう帰りな」

俺「あぁ、そうするよ」

青「さあ、行った行った」


101 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:25:57.57 ID:mQhyL02B0

俺「あぁ、帰るよ……」

俺「帰るよ」

俺「……」

俺「どこに?」




俺「頭が……痛い……」ズキズキ


105 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:28:07.63 ID:mQhyL02B0

◇ ◇

『ふあぁぁ~、疲れたなあ』

『ったく、明日も会社かよ。あ~しんどい辞めてぇなあ』

『早く帰って寝たいなあ~』

『あー明日も出勤かあ、嫌になるぜまったく』


106 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:28:54.01 ID:mQhyL02B0

ヒュウゥゥゥゥゥ~

ドン


ドドン、ドォン!


『おお、花火か。た~まや~ってか』


107 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:29:37.14 ID:mQhyL02B0

『ん、赤信号かよ。ったく』

『田舎じゃ車通勤は楽だと思ったんだが、これはこれで意外と疲れるな』

『……ってか夜だし田舎だし、誰も人なんかいねぇよ』

『よーし、いっちゃえ』



『っ!』


キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ


ドン


ヒュウゥゥゥゥゥ~

ドン


ドドン、ドォン!


108 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:30:39.05 ID:mQhyL02B0

『ねぇお兄ちゃん』

『お姉さまと呼べって言ってんだろうが小娘』

『キイちゃんが寝ちゃったよ、背負ってあげて』

『まったく、しょうがないわね』

『……』スースー


109 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:31:23.62 ID:mQhyL02B0

『疲れちゃったんだよ、今日はよく歩いたもん』

『そうね』

『……』スースー

『うふふ、わたし楽しみだなあ、田舎くらしってさ』

『なによ、東京でる時はあんなに嫌がってたくせに』

『えー、そうだっけ?』

『まったく、都合が良いんだから』


111 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:33:36.89 ID:mQhyL02B0

『わあ、見てよ。お星様があんなにたくさん!』

『こらこら、あんまり走るんじゃないよ。危ないから』

『大丈夫だよ、おねえちゃんこっち来てみて、ほら綺麗だよ』

『待ちなさいって。ん、しょっと。それにしてもキイちゃん軽いわね』

『……』スースー

『ほら早くー』

『はいはい、今いくから』


ヒュウゥゥゥゥゥ~

ドン


ドドン、ドォン!


112 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:34:58.05 ID:mQhyL02B0

『あ! はなび! はなびだよ!』

『お~、ホントだ。こんな田舎でも花火大会があるんだねぇ』

『お星様と一緒くらい綺麗……』

『そういえば、あんた打ち上げ花火は初めてだったね』

『うん!』

『綺麗さね、ほんとに』


114 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:38:05.35 ID:mQhyL02B0

『あのね。わたしね、知ってるんだ』

『何さね』

『わたしが喘息だから、田舎に住まなきゃいけないって』

『……』

『なのに、色々わがまま言ってごめんね? お兄ちゃんお店もやめちゃって……わたしのせいで。わたし、早く良くなるからね』

『丁度都会の男にも飽きてきたところだよ、ゆっくり治していけばいいさね』

『……うん』

『あと、あたしを呼ぶときはお姉さまだからね、いいかい?』


116 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:42:16.81 ID:mQhyL02B0

『……それはヤだ』

『まったく強情だねえ、誰に似たんだか』

『お兄ちゃんだと思う……』ボソッ

『何か言ったかい?』ニコニコ

『な、なんでもないよー』


117 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:44:29.98 ID:mQhyL02B0

『あたしとあんたとキィ。家族三人、協力して生きていくさね』

『……うん』

『辛いことも楽しいことも、三人で一緒に分け合っていこうね』

『うん!』

『よしよし、良い子だ』

『田んぼがたくさん、お星様もたくさん。おねえちゃんにキィちゃんにわたし~♪』

『おーい、あんまり走るんじゃないよー』

『るんるん♪ おにいちゃん~♪ じゃなくて、おねえちゃん~♪ キィちゃん~♪ わたし~♪ はなび~♪ おほしさま~♪』


118 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:45:15.69 ID:mQhyL02B0

『まったく、あの子の歌のセンスだけはわかりゃしないよ』

『るんるん♪』

『……ん。こんな時間にライト?』

『る~んるん♪』

『! あ、あぶない! 避けろ! 避けろーーー!』


119 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:46:09.14 ID:mQhyL02B0

『え?』

『ちくしょう! 間に合え!』



キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ


ドン


ヒュウゥゥゥゥゥ~

ドン


ドドン、ドォン!




120 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:48:24.73 ID:mQhyL02B0

◇ ◇


青「全部、思い出したんだね」


俺「……ああ」


122 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:49:47.07 ID:mQhyL02B0

青「そうさ。あんたに、あたし達は轢き殺された」

俺「ああ……」

青「天国へ行くと思ったら気がついたら何の因果かこんな場所で信号機をやることになってね」

俺「……」

青「あんたを、数え切れないくらい恨んだよ」


124 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:50:52.92 ID:mQhyL02B0

俺「ああ……」

青「あんたさえ交通ルールを守っていればあたし達家族三人、生きていけたんだ」

俺「……」

青「あんたさえ……、信号無視なんかしなけりゃ生きていけたんだ」

俺「……」

青「あんたさえ……、あんたさえ……っ!!」


127 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:52:14.28 ID:mQhyL02B0

俺「……」

青「……あんたさえ……居なければ……」

俺「……」

青「……キィは何も覚えていないよ、たぶん自分が死んだ事すらね。赤は、記憶を失ってしまったらしい、自分の名前もわからないくらいだからね。どういうわけかあたしだけがすべてを覚えているってわけだ」

俺「……」


128 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:52:54.87 ID:mQhyL02B0

青「殺してやりたい、あたしは、あんたを……!」


赤「待って! お兄ちゃん!」


青「お姉さまって言えって言ってんだろが小娘!」


129 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:53:47.31 ID:mQhyL02B0

赤「俺さんにひどい事しないで! 俺さんが何をしたって言うの!」

青「お前は何も覚えてないんだ、お前にこの男がどんなひどい事をしたか知っているのか?!」

赤「知らないわよそんな事! 俺さんの悪口いわないで!」

青「どけ! あたしはあの男を殺す!」

赤「やめて! やめて!」

青「うるさい!」

赤「……っ」


130 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:55:01.48 ID:mQhyL02B0

青「こいつはね……あたし達の命を奪ったのよ!」

赤「そんなことないもん!わたしに名前をくれた、こんなに優しい俺さんの悪口いうなんて許せない!」

青「……っ!!」


132 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:56:31.23 ID:mQhyL02B0

赤「ねえ、嘘だよね? 俺さんがそんなひどい人なわけないよね?」

俺「それは……」

青「……」

俺「……」

赤「ねえ、なんとかいってよ……俺さん……、ねえ!」


134 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:57:25.62 ID:mQhyL02B0

赤「そんな……そんな……」

俺「赤……、きいてくれ。俺は」

赤「……あ……、……赤? あ……あ……、赤いよ……、キィちゃん……、返事してよ……おにいちゃん……」

俺「赤っ!」

赤「赤? 血の色……、みんな、みんな、赤の色……」

俺「赤、きいてくれ」

赤「いやっ! ききたくない!」


ダッダッダッ


135 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 01:58:58.44 ID:mQhyL02B0

俺「赤……」

青「……あの子の本当の名前はね、茜って言うんだ」

俺「あか……ね?」

青「この姿になってから何度言ってもあの子、自分の名前を覚えてくれなくてね。自分の名前なんて無いっていうんだよ」


138 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 02:01:52.70 ID:mQhyL02B0

俺「……」

青「たぶん、自分を守るために全部忘れてしまったんだと思った」

俺「……」

青「生きていた時の記憶を無くす事で、最初から信号機だって事にすれば誰も何も傷つかなくて済む。あの子の中ではそうなってるんだと思ったさ」



139 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 02:03:07.11 ID:mQhyL02B0

青「そんな日、あんたが現れた」

青「あんたがそんな姿になってまで来てくれた日からあの子、毎日ほんとに楽しそうだったよ」

青「……さっきは勢いで色々言っちまったけどさ」

青「生前、あんたがしてきた罪滅ぼしを全部知ってるんだよ。あたしは」


140 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 02:05:00.41 ID:mQhyL02B0

青「風の日も、雨の日も。毎日、この裏にある墓に欠かさず墓参りしてくれていたのも知ってる」

青「あんたが、枯らさないように花の手入れをしていた事も知ってる」

青「あんたがどれだけの事をしていたか、全部知ってるよ」

青「それで、許したつもりだったんだ、その気でいた。
  でも、こうしてやっとお互い話せる体になったんだ
  一度くらい言いたいこと言わせてもらってもいいだろ? まぁあたしも……大人じゃなかったって事だわ
  本当はもう、そんな事どうでもいいのにね。さっきはひどい事いってすまなかったよ」


141 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 02:06:10.44 ID:mQhyL02B0

青「さ、行ってやりなよ」

青「あたしはもう、いいんだ。あとはあの子とあんた次第さね」

俺「……青」

青「男が泣くんじゃないよ、情けないね」


144 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 02:07:56.48 ID:mQhyL02B0

キィ「にーちゃん」

青「おねえちゃんでしょ、キィ」

キィ「ねーちゃん」

青「よしよし、良い子さね」

キィ「これで良かったの? 本当に良かったの?」

青「何言ってんだいキィ。あたしはもう気にしてないよ、信号機ってのもやってみるとそんなに悪くないもんさね」



145 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 02:09:25.00 ID:mQhyL02B0

キィ「……ねーちゃん」

青「ここで見ていると色々な人間が見えてくる。誠実、裏切り、謙虚、横暴……」

キィ「……」

青「たしかにルールを破ることはいけない事だけどさ、でもあいつはもう充分罪滅ぼしはしたんだよ。大事なのは起こした事を悔やむ事じゃなくて、むしろその後の話さ。これは信号機になってみてわかった事の一つさ」

キィ「そうか、お主がそう言うのならばそうなのだろうな」




青「キィ……? いや、あんた……誰だい?」


149 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 02:12:03.78 ID:mQhyL02B0

◇ ◇

俺「赤っ!」

赤「人殺し! こないで!」

俺「あか!」

赤「わたしの名前は赤なんかじゃない、茜」


151 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 02:13:36.26 ID:mQhyL02B0

俺「……赤」

赤「大嫌いです、今すぐ消えてください」

俺「……」

赤「もう、顔もみたくない」


152 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 02:14:53.81 ID:mQhyL02B0

赤「顔も、みたくない」

赤「顔も、みたくないのに……」

赤「どうしてかなあ」

赤「わたし」

赤「わたし……」


163 : 1です[] 2009/09/07(月) 02:25:39.85 ID:k6W9bcdTO

赤「人間なんて大嫌いだって思ってたけど、俺さんだけは違うと思って」

赤「気がついたから俺さんの事ばかり考えてて」

赤「ずっと、ずっと俺さんの事ばかり考えてて、毎日、まいにち」

赤「俺さんが」

赤「俺さんが……」

赤「俺さんが……」



165 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 02:27:08.94 ID:k6W9bcdTO

赤「だめだなあ、わたし」

赤「大嫌いって言ったのに」

赤「顔もみたくないって言ったのに」

赤「それでも、俺さんがわたしの中で一番なんだもん」



167 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 02:29:11.96 ID:k6W9bcdTO

キィ「それは本心か?」

赤「キィちゃん?」

キィ「それは、本心か?」

赤「あたりまえじゃない」ニコ

キィ「……そうか」



169 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 02:31:07.28 ID:k6W9bcdTO

赤「俺さん」

俺「……」

赤「俺さんの事、ぜーんぶ許しちゃいます」

俺「……」

赤「だから、顔あげてください」



170 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 02:33:26.65 ID:k6W9bcdTO

俺「……」

赤「もう、誰も怒ってませんよ。お兄ちゃんも、キィちゃんも、わたしも」

俺「……あかね」

赤「ふふ、わたしの名前は赤ですよ」



172 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 02:37:57.56 ID:k6W9bcdTO

◇ ◇


友「なあ、俺」

友「これでいいんだよな?」

友「お前はそれで良かったんだよな?」

友「わかんねえよ、俺には」

友「まあ、たまにこうやって顔くらいは見せに来てやるけどよ」

友「こんな田舎に来るのも一苦労なんだぜ?」

友「お前の遺言がまさかこんな事だなんてな」

友「ま、お前らしいといえばらしいかな」

友「お前が生前よくやってた墓と花の手入れくらい、お前の変わりに俺でもできるしな」


174 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 02:42:32.09 ID:k6W9bcdTO

友「さて、と。そろそろ帰るか」

キィ「ねえ、おにいさん」

友「あん? ガキがこんなとこに何の用だ?」

キィ「みんな、ありがとうって言ってるよ」

友「みんな?」

キィ「そう、みんな」


176 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 02:46:01.79 ID:k6W9bcdTO

友「へへっ。そうかい、そいつは良かった。手入れのし甲斐があるってもんよ」

キィ「じゃあね」

友「なんだ、もう行くのか?」

キィ「うん、ボクは神様だからね」

友「そいつはすげぇや」

キィ「それじゃ」

友「ああ、ちょっと待ってくれ」

キィ「なあに?」



177 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 02:47:59.18 ID:k6W9bcdTO

友「お前に貸した100円。まだ返して貰ってないって伝えといてくれないか?



 おわり。



180 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 02:50:28.47 ID:Nfxz+SDnO

お疲れさま
車よく運転するからきをつけなければ…


181 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 02:50:33.97 ID:zrPNUCFXO

>>1お疲れさん!

途中からの超展開なかなか面白かったなw


182 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 2009/09/07(月) 02:51:45.70 ID:uTN8e74i0

>>1乙!
深いな
俺は自殺の解釈でおk?


191 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 2009/09/07(月) 03:00:13.08 ID:mQhyL02B0

>>181
ずっと支援ありがとさんです。
俺のスレはあまり伸びないんでいつも不安で潰されそうになるwww

>>182
自殺にしたくないなーっていう思いがあって。
うん、きっと天寿を全うしたんだと思う。それが長いか短いかっていう話であって。



元スレ:http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1252248694/
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